現地レポート:マリアナその2

  • 2007年11月8日
ホテルもアップグレード、上質な旅行にも対応

アップグレードはホテルでも実施されている。北マリアナ諸島ホテル協会のリン・ナイト会長は「需要が少ない今だからこそ、リノベーションを働きかけている」と言い、スパ、プール、客室を中心に、マリアナのホテルが変わりつつある。例えば12月にはハイアット・リージェンシー・サイパン内に「イサグア・スパ」がオープン。マリアナで初めて、チャモロとカロリニアンというマリアナの伝統文化と自然を取り入れたトリートメントを提供するスパで、洗練された雰囲気だ。既存のマリアナリゾート&スパの「マンディ・アジアン・スパ」や、フィエスタ・リゾート&スパの「ザ・スパ」、アクア・リゾート・クラブ・サイパンの「アーク・ヘルス・スパ」などを含め、個性の異なるスパが揃う。今後は主要客層のファミリーのみならず、女性を中心としたスパをメインとするゆったりした上質なリゾート滞在も十分、訴求することが可能だろう。

一方、従来からの主要客層であるファミリー向けの施策も展開。例えば、ホテル・ニッコー・サイパンでは子供向けの専用スペース「キッズボックス」が好評なことから、今後は他のホテルでも同じような趣旨の施設を設置する動きもある。



「安売りするデスティネーションではない」

現地の旅行会社やサプライヤーなどで構成する日本サイパン旅行業協会(JSTA)会長の酒井英紀氏は「安売りするデスティネーションではない」と強調。これは、9月のJATA旅行博でマリアナ旅行の予算をアンケートしたところ、7万円から8万円で25%と最も多かったという結果を受けた発言で、「旅行会社は自信を持って売って欲しい」と訴える。酒井氏が所属するアールアンドシーツアーズでは、ビジネスクラスを利用し、島内では専用車で移動するプチセレブ感覚のツアーも、需要があるという。

JOがサイパン線を運休する直前の搭乗率は成田線で89%、関西線は82%といずれも高い数値を示していた。それでもJOが撤退し、NWが減便した理由は、イールドを重視した施策によるもの。そのため、NWの復便を機に今後、旅行者数が回復した際には、マリアナ旅行全体のイールドが、以前よりも向上していることが求められるはずだ。観光局や現地がそのための準備を進めるなか、商品造成を担う旅行会社が、今後のマリアナ観光を左右するといえるだろう。


▽関連記事
マリアナ知事、JLに再考を促すも、新規路線の就航にも手を打つ【05/06/16】
サイパン、受入態勢の向上にサプライヤーが共同で努力−JSTAが説明【07/09/18】





サイパンの5ヶ年計画−空港美化計画など

マリアナでは2006年5月18日、渡航者数の増加をめ
ざした5ヶ年計画を策定、毎年プロジェクトの内容
を見直しながら実施している。今回、注目される空
港の美化計画はその中の一つだ。MTAでは子ども広
場のオープンを記念し、お披露目を実施。参加した
MVAのペリー・テノリオ局長に、空港の美化計画を
含め、今後の展開を聞いた。


−空港美化計画の一環としてこども広場がオープンしましたね。

こども広場は10月15日のオープン直後に多くの子供が利用していた。すぐに成果が見え、作っ
たことが、効果としてあらわれた。現在は狭いスペースではあるが、搭乗するまでの時間を子
供を遊ばせることが出来るので、ファミリー層の悩みをひとつ解決できたと思う。

−空港の後は何をしますか

常に同時進行で進めている。そのひとつが、サイパンの南部にあるススペコという地域を、エ
コツーリズムの一環として観光客が遊べるように開発を進めていく。もうひとつ、カラベラ洞
窟の開発もされていない。これは歴史的な要素がある洞窟なので観光スポットとして整備した
い。
美化に着手しているガラパン地区もまだ途中なので、こちらも引き続き継続していく。全てが
長期スパンのものばかりだが、少しずつ進捗し、旅行者の期待に応えるように努力している。

−目標であった関西線の再就航は実現しますが、次の手は

まず、良いロードファクターが記録され、定着することが大切。そのために予算を確保してお
り、プロモーションをしていく。関西線の次は、成田線を現在の1便から2便体制となるよう
につなげていきたい。特に交渉している航空会社はないが、ノースウエスト航空(NW)との関
係を保ちながら、他の航空会社との交渉も希望しており、最終的には「3D」、
つまり「daily  direct  daytime flight」を実現したい。定期便のある成田、中部、関西に
加え、今後は羽田空港や地方都市でも積極的にプロモーションをする予定だ。財政は厳しい
が、今期の観光対象の追加予算として200万ドルを確保しており、日本にはその半分の100万ド
ルをあてる。


現地レポート:マリアナ・その1へ

過去の現地レポートはこちら