スペシャリスト・インタビュー トラベル世界 大阪支店長 若松正智さん
お客様に納得される旅行作りが仕事の誇りに
テーマ性のある高品質な旅行をモットーに、世界105ヶ国でツアーを提供するトラベル世界。特に、インドシナ方面は、同方面の航空会社が就航する大阪に支店を持つ強みを生かして15年ほど前から展開し、ベトナムのモノ商品に関してはパイオニアとも言える存在です。そんな同社において若松さんは25年間、大阪支店で勤務されており、第1人者といえるでしょう。同方面の商品の変遷を伺いました。
トラベル世界株式会社 大阪支店長 若松正智さん
2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト インドシナ、ハンガリー・チェコ認定
Q.御社商品の特徴を教えてください
現地の姿を知ってもらえるような丁寧な企画と確実な手配でベストシーズンにツアーを催行し、社員添乗員が同行します。ですから現地情報の収集が早く、添乗の際にお客様にとって改善した方が良いと気づいたことがあれば、対応がスムーズです。早ければ期中でも変更できますし、ツアー中でもお客様に理由を話し、賛同いただいた上で、実施することもありますよ。
例えば、ベトナムでは世界遺産のフォンニャ洞窟で、山の上にあるティエンソン洞窟も一緒に回る場合、訪問順序を変えた方が体力的に楽になることがお客様の感想で分かり、変更したことがあります。旅程保証があり、次のシーズン以降に実現するものもありますが、その場で対応できるものは添乗員の裁量次第。変更の理由をきちんと説明し、意図が伝われば逆に喜ばれます。社員添乗員の経験がモノをいうところだと思いますよ。
Q.長年、インドシナ方面のツアーを催行されていますが、旅行動向に変化はありますか
以前は12日間、最長で16日間など長期のコースが多かったのですが、最近はホテルなどの仕入れ値が上がり、長期の旅行が難しくなってきました。また、以前は旅行会社に「おまかせ」的な参加者が多かったのですが、ご自身で勉強するお客様が増え、自由散策などの時間を用意したツアーもあります。目的も明確で多様化しつつあり、陶器作りのツアー、スケッチのツアーなど、目的型のニーズにも応えています。
Q.今まで携わった業務のうち、印象的な出来事を教えてください
カンボジアの内戦が終わった20年ほど前、渡航が解禁されて初めてアンコールワットを訪れるツアーに添乗した時のことです。当時はバンコクからホーチミンにエールフランス航空で行き、ホーチミンからベトナム航空のチャーター機を利用してシェムリアップ(アンコールワット)に入るルートしかなく、日帰り観光でしたが、これがツアーのハイライトでした。
それなのに当日、急に航空会社側の都合でシェムリアップへの便が飛ばなくなってしまいました。何とか説得して急遽運航してもらえるようになり、たった15分ですがアンコールワット観光ができました。そのとき、「無理だと思っていたのに」と、お客様が理解して喜んでいただけたのが、心に残っています。
また、ベトナム航空が大阪に初就航した1994年、初便のツアー作りを担当しました。金曜日出発で満席となり、追加で設定するほど好評となったのはうれしかったですよ。その当時はミーソン遺跡へ行くのもバイクで2人乗り。最大20人のツアーなので20台で列を組み、川の中も走行するようなツアーだったのです。日本ではできない体験にお客様も喜んでいらっしゃいましたね。
Q.DS講座の感想を教えてください
販売や添乗時にはあまり必要でないような“マニアック”な問題まであり、もう少しお客様が求める内容に合わせた方がよいかと思いました。例えば私は大阪に住んでいますが、市内の地下鉄の駅で知らないところもあります。それはあまり有名でない場所だからですが、そのレベルまで求めるのは実務に即していない気がします。それよりも、日本ではあまり知られていない方面ですから、気候や治安など現実的な問題の方が、大切なことだと思います。
また、どこの国にしても歴史が出題されていますが、一般的な内容以外は、添乗員は有益でも販売スタッフに不要なものもあります。講座の対象が広範囲な気がしますので、お客様の視点と旅行スタッフの職種にあわせて構成した方がよいかも知れません。
Q.ご自身の経験から、業界の将来に思うことは何でしょうか
業界全般に言えることですが、適正な利益を収受して欲しいと思います。その代わり、自信を持って提供できる確実な商品を販売するということです。薄利多売で続けられる業者は、どの世界にもありません。特に旅行は形のない商品ですから、クレームになりやすい。旅行会社のツアーはトラブルが当たり前とのイメージを自ら作ってはならないと思うのです。ただでさえ、ホテルやエアのダブルブッキングやオーバーブッキングなどトラブルの要素があるのですから、その事態に陥っても責任もって対応できる体制を作ることも大切ですよね。
私が入社した当時、創業間もない当社はまだ小さな会社でした。でも、当時と今とで変わらないのは、「旅の価値はお客様の満足度で決まる」の理念どおり、納得される商品を提供すること。私もひたすらそれに務め、お客様に喜ばれることが自分の誇りになったと思います。弊社の7割はリピーターで、25年以上も利用していただいているお客様がたくさんいます。中には25年にわたり最低年に2回以上、計130回以上も利用していただいている方もいらっしゃるんですよ。添乗したお客様に「楽しかった、お疲れ様」と労っていただき、「次の旅行は…」なんてお話が続くと、本当にうれしいですよね。
ありがとうございました。
<過去のスペシャリスト・インタビューはこちら>
テーマ性のある高品質な旅行をモットーに、世界105ヶ国でツアーを提供するトラベル世界。特に、インドシナ方面は、同方面の航空会社が就航する大阪に支店を持つ強みを生かして15年ほど前から展開し、ベトナムのモノ商品に関してはパイオニアとも言える存在です。そんな同社において若松さんは25年間、大阪支店で勤務されており、第1人者といえるでしょう。同方面の商品の変遷を伺いました。
トラベル世界株式会社 大阪支店長 若松正智さん
2006年度(第3回)デスティネーション・スペシャリスト インドシナ、ハンガリー・チェコ認定
Q.御社商品の特徴を教えてください
現地の姿を知ってもらえるような丁寧な企画と確実な手配でベストシーズンにツアーを催行し、社員添乗員が同行します。ですから現地情報の収集が早く、添乗の際にお客様にとって改善した方が良いと気づいたことがあれば、対応がスムーズです。早ければ期中でも変更できますし、ツアー中でもお客様に理由を話し、賛同いただいた上で、実施することもありますよ。
例えば、ベトナムでは世界遺産のフォンニャ洞窟で、山の上にあるティエンソン洞窟も一緒に回る場合、訪問順序を変えた方が体力的に楽になることがお客様の感想で分かり、変更したことがあります。旅程保証があり、次のシーズン以降に実現するものもありますが、その場で対応できるものは添乗員の裁量次第。変更の理由をきちんと説明し、意図が伝われば逆に喜ばれます。社員添乗員の経験がモノをいうところだと思いますよ。
Q.長年、インドシナ方面のツアーを催行されていますが、旅行動向に変化はありますか
以前は12日間、最長で16日間など長期のコースが多かったのですが、最近はホテルなどの仕入れ値が上がり、長期の旅行が難しくなってきました。また、以前は旅行会社に「おまかせ」的な参加者が多かったのですが、ご自身で勉強するお客様が増え、自由散策などの時間を用意したツアーもあります。目的も明確で多様化しつつあり、陶器作りのツアー、スケッチのツアーなど、目的型のニーズにも応えています。
Q.今まで携わった業務のうち、印象的な出来事を教えてください
カンボジアの内戦が終わった20年ほど前、渡航が解禁されて初めてアンコールワットを訪れるツアーに添乗した時のことです。当時はバンコクからホーチミンにエールフランス航空で行き、ホーチミンからベトナム航空のチャーター機を利用してシェムリアップ(アンコールワット)に入るルートしかなく、日帰り観光でしたが、これがツアーのハイライトでした。
それなのに当日、急に航空会社側の都合でシェムリアップへの便が飛ばなくなってしまいました。何とか説得して急遽運航してもらえるようになり、たった15分ですがアンコールワット観光ができました。そのとき、「無理だと思っていたのに」と、お客様が理解して喜んでいただけたのが、心に残っています。
また、ベトナム航空が大阪に初就航した1994年、初便のツアー作りを担当しました。金曜日出発で満席となり、追加で設定するほど好評となったのはうれしかったですよ。その当時はミーソン遺跡へ行くのもバイクで2人乗り。最大20人のツアーなので20台で列を組み、川の中も走行するようなツアーだったのです。日本ではできない体験にお客様も喜んでいらっしゃいましたね。
Q.DS講座の感想を教えてください
販売や添乗時にはあまり必要でないような“マニアック”な問題まであり、もう少しお客様が求める内容に合わせた方がよいかと思いました。例えば私は大阪に住んでいますが、市内の地下鉄の駅で知らないところもあります。それはあまり有名でない場所だからですが、そのレベルまで求めるのは実務に即していない気がします。それよりも、日本ではあまり知られていない方面ですから、気候や治安など現実的な問題の方が、大切なことだと思います。
また、どこの国にしても歴史が出題されていますが、一般的な内容以外は、添乗員は有益でも販売スタッフに不要なものもあります。講座の対象が広範囲な気がしますので、お客様の視点と旅行スタッフの職種にあわせて構成した方がよいかも知れません。
Q.ご自身の経験から、業界の将来に思うことは何でしょうか
業界全般に言えることですが、適正な利益を収受して欲しいと思います。その代わり、自信を持って提供できる確実な商品を販売するということです。薄利多売で続けられる業者は、どの世界にもありません。特に旅行は形のない商品ですから、クレームになりやすい。旅行会社のツアーはトラブルが当たり前とのイメージを自ら作ってはならないと思うのです。ただでさえ、ホテルやエアのダブルブッキングやオーバーブッキングなどトラブルの要素があるのですから、その事態に陥っても責任もって対応できる体制を作ることも大切ですよね。
私が入社した当時、創業間もない当社はまだ小さな会社でした。でも、当時と今とで変わらないのは、「旅の価値はお客様の満足度で決まる」の理念どおり、納得される商品を提供すること。私もひたすらそれに務め、お客様に喜ばれることが自分の誇りになったと思います。弊社の7割はリピーターで、25年以上も利用していただいているお客様がたくさんいます。中には25年にわたり最低年に2回以上、計130回以上も利用していただいている方もいらっしゃるんですよ。添乗したお客様に「楽しかった、お疲れ様」と労っていただき、「次の旅行は…」なんてお話が続くと、本当にうれしいですよね。
ありがとうございました。
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