現地情報、マレーシア建国50周年記念パレード−人々のパワーを感じる

  • 2007年9月6日
1957年8月31日、アブドゥル・ラーマン初代首相が独立を宣言してから、今年でちょうど50周年を迎えるマレーシア。アニバーサリーイヤーの今年の「建国記念日(現地の言葉でムルデカ)」は、クアラルンプールを中心に全国で例年以上の盛り上がりを見せている。独立50周年記念に伴い、マレーシア政府観光局とマレーシア航空が実施したクアラルンプールFAMツアーで、記念パレード行事に遭遇。イベントで垣間見た、マレーの人々の煌びやかで熱狂的なパワーを紹介しよう。(取材協力:マレーシア政府観光局、マレーシア航空、文:akiko)


▽夜明け前―建国50周年前夜、喜びにわくマレーシア

 8月30日深夜、ふだんから観光客や地元の若者でにぎわう首都クアラルンプール(KL)の繁華街ブキッ・ビンタンには、いつにも増して大勢の人々が繰り出していた。翌日はマレーシアで最も重要な祝日「建国記念日」のカウントダウンパーティが行われるからだ。今年は建国50周年という節目の年で、国民総動員の一大イベント。街の中心地にあるムルデカ広場では、およそ2万5000人の観客を迎え、盛大なカウント・ダウン・イベントが行われた。ショピングモールや各飲食店もそれぞれのカウント・ダウンで祝賀ムードに沸く若者たちで溢れた。国旗を誇らしげになびかせ、「ムルデカ!(=現地の言葉で「独立」の意味)」と歓喜の声をあげながらオートバイを走らせる若者たちの姿は、この国にみなぎるエネルギーを感じさせる。(写真は記念日前夜)

 建国以来、シンガポールやタイなど共に、アジア経済の主要国として急速な都市化を遂げたマレーシア。特にKLは、ツインタワーとしては世界一の高さを誇る「ペトロナス・ツインタワー」に象徴されるように、高層ビルの建設ラッシュに沸く。最近では海外からの移住者の増加が目立ち、高級コンドミニアムの建設が相次ぐ。観光面でいえば、ペナン島、ランカウイ島などのリゾートがメインだったが、最近はKLを訪れる観光客も増えており、日本でもKL滞在をプロモーションしているところ。過去50年間にこの街が経験してきた勢いは、これから先もしばらくは留まることがなさそうだ。


▽建国50周年記念パレード「ムルデカ!ムルデカ!」

 2007年8月31日、KL市内のムルデカ広場では、50年前にマレーシア初代首相のラーマン氏が独立宣言を果たした時とまったく同じ興奮が周囲を包んだ。前夜祭、記念式典、記念パレードなど、初めて体験するビッグイベントに、何が起こるのか分からないといった期待に沸く様子だ。建国記念イベントのハイライトともいえる記念パレードは、8月31日の朝に開催。パレード開始は朝8時からだが、6時過ぎから大勢の人々が集まり始め、7時頃にはすでに足の踏み場もないほど。地元警察の発表ではムルデカ広場に、約6万人の観衆が詰めかけたという。

 パレードは警察の白バイに先導されて、シンガポール、インドネシア、タイなど、ASEAN諸国の政府関係者ら、かつてマレーシア統治国だったイギリスからはアンドリュー王子など各国VIPが広場に到着。さらに、マレーシア各州を代表するスルタンが入場し、最後にマレーシア国王が現われる。首相が「ムルデカ!」と叫ぶと、大観衆がそれに呼応。「ムルデカ!ムルデカ!ムルデカ!ムルデカ!」のコールは7回にわたって行われた。

 宣言がおわると、祝砲があげられ、建国50周年を祝うテーマソング「Gloryto Malaysia」が流れはじめた。会場に集まったほぼ全員が歌詞をくちずさむなか、民族衣装に身を包んだ子供たちがパフォーマンス。広場中央に設えられたスタンド席ではカラフルな旗やリボンやパネルを持った観衆がマスゲームを始め、マレーシアの国旗や「Merdeka」の文字を鮮やかに浮かび上がらせた。

 会場の反対側から、5台のヘリコプターが、国旗と同じ赤・青・黄・白の煙幕をあげながら飛んできたのを合図に、いよいよパレードがスタート。上空では空軍によるアクロバット飛行が繰り広げられ、沿道の観客から拍手と喚起があがる。山車のなかには初代首相の偉業をたたえるもの、クアラルンプールの象徴のツインタワーを模したものなど、さまざま。今年秋にロシアのスペースシャトルにマレーシア人初の宇宙飛行士が乗り込むのをうけ、宇宙服で行進する人々の姿も見えた。公式発表では1万3000人、14台の山車、25の戦車および52の戦闘機がパレードに参加したという。

 およそ2時間にわたるイベントの最後は、ふたたびテーマソング「Glory toMalaysia」の大斉唱で締めくくられた。独立記念の催しが続く9月8日まで、熱狂的な歓声が続くのだろう。