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市場の成熟化も終盤に、成長鈍化で再飛躍は09、10年に期待−財JTB

  • 2007年7月25日
 財団法人日本交通公社(JTBF)は7月24日、海外旅行動向シンポジウムを開催、この中で主任研究員の黒須宏志氏は2007年の海外旅行者数について、前年比0.9%増の1770万人、また2008年は0.8%増の1780万人と日本市場は成長が鈍化する見通しを示した。伸びが鈍化する要因としては、団塊世代が中長期的に増加を期待できるものの、海外旅行経験の豊富な層で構成されるシニア層の成熟化が終盤に入ってきていることによるもの。

 今回の海外旅行マーケット動向の説明では日本人旅行者数の伸び率で2006年はネパール、クロアチア、スロベニア、ドバイ、マカオ、ベトナムと新興市場の伸びが著しい中、減少など厳しい市場はサイパン、インドネシア、ポルトガル、ニュージーランド、デンマーク、ハワイ、カナダなど。これを2006年の出国者数の増加率0.8%に対する寄与度では中国が最も高く、次いでタイ、香港、ベトナム、マカオと続く。反対にハワイ、インドネシア、韓国、サイパン、アメリカ本土などが伸び率を抑える要因。

 こうした結果から、日本に近いデスティネーションの躍進が目立つが、東南アジアは6.2泊とオセアニアやハワイを上回り、北米の6.3泊に近づく平均泊数で、「宿泊数の増加も伴い『安近短』が当てはまらなくなってきた」と指摘。また、欧州については50代超のうち、9回以下の経験、またリタイヤ効果が見られているということを指摘。アイスランドでは6.2ヶ国、スロベニアでは5.7ヶ国と平均3.5ヶ国を訪問していることから、「欧州の中では経験が高いが、国としては訪れることが初めての層が動いている」。

 ただ、中長期的にはショートホールの東南アジアなど市場でのシェアは低いことから伸びる余地があるというものの、課題としては満足度ではスイスの87%、フランス、ニュージーランドの79%に、人気ではハワイの32%、イタリアの25%など上位のデスティネーションに近づいていく質の改善を旅行会社などを含めて進めていく他、格安航空会社の登場など2009年から2010年に予定されている羽田、成田空港の発着枠拡大に伴う「外」からの変化が必要という見解も示している。