観光活性化フォーラム
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航空運賃の独禁法適用除外、焦点はインターライニング−IATAなどが強調

  • 2007年5月28日
 公正取引委員会(公取委)が5月25日に開催した、第3回「政府規制等と競争政策に関する研究会」(規制研)で、国際航空運送協会(IATA)ジュネーブ本部から来日した、アルバン・サトウ氏(タリフ・ミーティングス・インターライン&レベニュー・マネジメント・ソリューションズ・マネージャー)は、IATAが提供するサービスの中で、特に「インターライニングは旅客と航空会社ともに享受できる、いわば合弁事業のようなもの」として、IATA運賃の役割と複数社で共同する必要性をアピールし、独占禁止法(独禁法)適用除外制度の必要性を訴えた。

 これは公取委がヨーロッパやアメリカなどで、国際航空カルテルに対する独禁法適用除外を見直す動きを受け、規制研「国際航空市場の実態と競争政策上の課題について」での検討を今年2月から開始したことによるもの。先月の第2回の規制研までに、国際航空に関する制度の概要確認と現状確認を行っている。今回は関係者ヒアリングとして、IATAと日本航空(JL)、全日本空輸(NH)、日本貨物航空(NCA)からの意見聴取した。

 この委員会でサトウ氏は、IATAメンバー社以外でもインターラインニングに参加でき、共通運賃を使用することで運賃合算や精算の業務が軽減し、各航空会社が安心して参加できるとのメリットを述べた。これについて、出席した航空各社も「IATA運賃そのものが競争を阻害しているものではない」(JL)、「連帯でサービスするためにはルールが必要」(NH)、「世界で唯一、一覧で表示できる非常に便利な運賃」(NCA)などと、同様に主張した。特にJLは国際旅客の乗継比率として、ロサンゼルスでは18%、アムステルダムでは44.1%、シカゴでは54.0%などと、ハブ機能が強い空港ほど高い水準にあるとのデータで実用性を示した。

 ただしサトウ氏は、EUやアメリカなどの見直しの動きを受け、市場運賃を優先する「フレックスフェア」(各キャリア運賃の平均値を算出し、地域の“プレミア”を上乗せして設定)など新たなサービスを開始していることも紹介。また、その他の連帯輸送協定や精算協定など、その他の制度で段階的に実施可能なものもあるのでは、と述べた。


▽地域特性の面での考慮も必要

 以上に加え、航空会社からは地域特性を考慮した判断を求める意見が寄せられた。欧州、アメリカ、オセアニア地区以外の特にアジアでは、シンガポールなどを一部を除き、独禁法自体が存在していない国もあること、また韓国のようにIATA運賃しか存在しない国もあることなどを説明し、「欧米各社はアジアでのネットワーク構築に、アジアの各航空会社との提携を模索している。各国では適用除外制度を戦略的に活用されており、これに差がある」として、今後の日本としての航空戦略、国際競争力の強化といった政策的観点からの総合的な検討を求めた。