カナダ観光局、異業種と連携推進−次世代マーケット開拓で新たな戦略を採用

  • 2007年5月7日
(カナダ、ケベック・シティ発:吉沢博子 5月2日) ランデブー・カナダ会場においてカナダ観光局(CTC)副社長インターナショナル・マーケット担当のアンドリュー・クラーク氏は、トラベルビジョンのインタビューに応え、日本マーケットの重要性とCTCの今後のプロモーション展開について語った。

 日本からカナダへの旅行者数は、2006年度が約38万6500人で前年度比8%減と低迷したが、カナダへの旅行者数全体から見るとアメリカ、イギリスについで依然として第3位の市場を維持している。クラーク氏は「数字が落ちたことは確かだが、日本が大変重要なマーケットであることに変わりはない。観光局開設から41年と、長い観光交流によってマーケット開拓に成功し、現在に至っているわけで、その歴史を通じて日本でカナダはよく知られた国になり、さまざまなアイコンもすでに浸透している。こうした幅広い理解を土台に、今は次世代マーケットの開拓、新たな戦略展開に取り組む段階にある」と語った。

 新しいマーケットの開拓の方向としては、カナダ各地の自然、アクティビティ、エンターテイメント、グルメ、フェスティバルなど、さまざまな表情と楽しみ方があることを積極的に紹介。これにより、従来の短期間で多くの場所を巡る旅のスタイルから、一つのエリアに滞在して内容の濃い体験をするスタイルへと、旅行者の意識を変えていくことを目指す。

 「たとえばトロントを中心に、4日から5日かければナイアガラやワイナリーめぐりまでたっぷりと楽しめる。こうしてカナダへの理解をさらに深め、次にはまた別のエリアで新しいカナダを発見してもらう。何度来てもそのたびに楽しめる国という認識にかえていきたい」とクラーク氏はいう。そのために今まで以上にメディアを通じたピーアールに力を入れる方針だ。

 さらに、異業種の企業などのパートナーである「ノントラディショナル・パートナー」とのコラボレーションも積極的に行っていく予定だ。「すでに日本のヘアサロン・チェーンとの共同プロモーションを実施している。こうした形のPRを今後さらに広げていきたい」とし、旅行業界を超えたアプローチでカナダを多角的に印象付けていくことにも、新しいマーケット開拓の可能性があること強調した。

 ランデブー・カナダに出席したCTC日本代表サイモン・ピット氏は、クラーク氏の発言を受け、日本でのプロモーションにおける短期間のアクションプランを紹介。「まず、今年発表したブランディングを徹底させていくこと、ノントラディショナル・パートナーとの連携を推進していくこと、メディアによるプロモーションの更なるサポート、ウェブサイトのアップデートなどが課題。特に、メディアプログラムで、テレビでのカナダの露出を増やすことに力を入れたい」と語った。

 旅行者数の減少については、航空会社の機材変更による供給座席数の減少が要因の一つであるため、航空会社と交渉を今後も続けていく方針。当面の具体的な目標としては、2007年の旅行者数を40万人台に回復させることとし、引き続き旅行者の意識を喚起していくことに意欲を示した。