「PTS」に社名変更へ、店舗事業を分社化−クルーズで2ブランド制へ
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このほど会見したPTS代表取締役の實光進氏は社名変更について、ブランディングが根幹にあるという考えを示した上で、「旅行業界では『PTS』の知名度は高いが、消費者に旅行会社であることを分りやすく伝えるため」と説明する。PTSは1992年に太平洋観光、ヴィーヴルのリテール部門、西友の旅行事業部門が統合して誕生。2003年には資本の移動によりJTBグループとなったリテール専業旅行会社だ。1998年頃から店舗数の拡大戦略を進め、イオン、そごうなど百貨店などに店舗を開設してきたが、「ららぽーと」など地域に根ざしたショッピングセンターに進出しているところだ。こうした店舗戦略を進めていく上で、消費者の集客力を維持、高めるためにはPTSの知名度の向上、「旅行会社」として安心感を打ち出す必要があるという判断であろう。
これは地域毎に様々なショッピングモールに出店するPTSが、消費者に「旅行会社である」という認知を得ることでの集客、かつ、高品質な旅行サービスを提供するブランドとしての位置づけが、これまでよりも重要になるという背景もある。特に、インターネットでの旅行商品の購買が増えているが、この流れは変わらないとの見方を實光氏も示しており、PTSとしてのネット戦略はこれまで推進してきた「クリック&モルタル」を強化であり、ネットから店舗への誘導を強める。この中で、店舗へと誘導する商品としてはウェディングやクルーズを挙げており、これらについては店頭でのサービス、コンサルティング力を強化し、PTSとしても重心を置き成長を図る。
店頭スタッフでのコンサルティング力の強化は教育についても充実させる。既に、ウェディングについてはバリへスタッフを20名程度を派遣。こうした現地視察なども活発化することで店頭での対応力を高める。
また、出店計画は関東では強いものの、関西、中部などでも積極展開をしたい考え。主力であるファミリー層の取り込みをこれまでと同様に進めながら、ウェディングやクルーズ商品にこれまでよりも重心を置くことで成長を図る。
こうした動きで中核の一つとなるのがクルーズ商品。PTSでは「PTSクルーズデスク」として消費者の知名度、信頼性も高い。これをはじめてのオリジナル商品として「PTSプレミア」としてクルーズ商品でもハイエンドを取扱う。また、市場拡大をめざし「PTSバリュー」と銘打つ商品を展開、2ブランド体制とする計画だ。なお、クルーズについて實光氏は「日本では2番目の取扱額で15億円から16億円程度」と語り、「うまくすればナンバー・ワンとなることも出来る」という考え。これを機軸としてPTSとして「高級感」「安心感」につなげて行く考えも示した。
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