CSは目的ではなく、ビジネスの最低限の条件―CSと日本人旅行者の特性から


藤田氏は高級車のレクサスを求める人は、旅行と同じく「期待=夢」を持って購入する人が多いとして、製品だけではなく、所有することで得られるレクサスの世界を提供していると旅行業界との共通点を説明。それが高級車市場での成功を導いたレクサスのブランディングであるとも述べた。その上で「CSは誰もが期待するもので、必要最低限の条件。お客の情動に訴えることができなければ、どんな業界でもビジネスチャンスを失う」として「CSが目的ではなく、どうすればお客の心を動かせるかを追求することが大切」と語った。
トンプソン氏は日本での7年間の経験で感じた日本人の特性を「日本人が期待するのは、製品よりサービスの背後にある考え方」と紹介。特に最近はどのホテルもハードが整っているため、ソフトによって他と違った存在になりえるとホテルのブランディングにも触れ、「顧客にとって価値のあるサービスを提供することで期待に応えることができ、CSに繋がる。パークハイアット東京ではスタッフのサービスを国際的にすると同時に、よりフレキシブルでパーソナルさを融合させた顧客主導のサービスにするように努めた。お客のニーズを先取りして見えない形で提供することが日本市場では大切で、そのための誠実さ、思いやりなどの醸成は研修の中核であった」と、日本での具体的な事例を明かした。
大隅氏は「CS、ブランディング、お客の期待は三位一体で切っても切れないもの」と述べ、参加者に対し「CSを理解しているか、お客の視点に立っているか、変化に追いついているか、効果的な社員研修があるか、効果的なCSの測定方法があるか、効果的な戦略や計画があるか、について常に自問自答することが大切。どうしたら旅行業界の商品である夢を売ることができるのか、ずっと考えて欲しいと思う」とまとめた。
▽写真説明
左上:トニー・藤田氏、右上:マルコム・トンプソン氏、下:ヴィクター・大隈氏