アマン・ゼッカ会長、アマン・ゼッカ会長、商品そのものとサービスがブランド構築の重要な要素

  • 2006年9月22日
 アマン・リゾーツ会長のエイドリアン・ゼッカ氏が「ブランド」をテーマとしたJATA国際観光会議の基調講演に登壇、自社のブランド構築の過程を例にとりながら、サービス面に配慮しながら、順序立てた戦略が必要だとの考えを語った。

 ゼッカ氏はブランド構築にあたり、開発、維持、拡大の大きく3つの段階でアマンの進め方を紹介。開発段階では客室数が多くて50室、概ね30室から40室のホテル展開から、認知を高める広告を利用するのではなく、口コミを重視。現在は15万人の「アマン・ジャンキー」を集めている。
 維持段階としては、常に顧客とのコミュニケーションを図ることが重要で、新しい商品を作ることも策のひとつ。ただし、新商品は、はじめに展開した商品と同様の細心さを払う必要があるという考えも示している。さらに、ブランドの拡大については、アマンとしては現在、顧客層が同様のプライベートジェット機を運航する企業と提携しているところ。ただし、この段階では「やりすぎ」、特に露出を高めすぎることは「マス商品ならば良いが、ラグジャリー商品ではブランドを損なう可能性がある」とも注意を促した。

 ただし、こうしたブランド構築の過程において、何よりも重要なのは「商品そのもの」。アマンでは最も高い品質水準を保つことを目指し、中でも高いサービスの維持が重要であるとした。アマンのサービスは例えば、スタッフが顧客を名前で呼ぶ、あるいは飲み物を注文しも、その都度サインをする必要がない、など高いサービスには定評があるところ。こうしたサービスについてゼッカ氏は「客室数が多くては出来ない」とし、マーケティング対象としたサービスを提供することの重要性も示唆。
 ただ、サービスは「人」が行うもの。アマンでは中間管理職については他のホテルからの転職もあるが、現場スタッフは地元から採用。この現場スタッフは「温かいお茶を出す以上のこと」がレベルの高いサービスを提供することにつながるが、現在は約20のアマンで働くこと、顧客のライフスタイルを理解し、実際のサービス、そして働くアマン・リゾートの地域を巻き込んだ文化、デスティネーションの形成も重要だ、という考えを示した。