旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

エルサルバドル、5月末に観光大臣来日、日本人誘致に向けセミナー開催へ、現地のサービス向上も目指す

  • 2006年3月29日
 エルサルバドル共和国特命全権大使リカルド・パレデス・0.氏はこのほど、海外ツアーオペレーター協会を訪問、観光客誘致に向けた今後の旅行業界向けの施策について語った。エルサルバドル共和国大使館は2002年から06年の5年間、観光について重点的に取り組みを進めている。その一環として、今年5月末にエルサルバドル観光省大臣が来日する予定だ。観光省、大使館ともにエルサルバドルを「中米への玄関口」と位置づけてプロモーションを展開する意向で、グアテマラ、ホンジュラスなどと連携。エルサルバドルに本拠を置くグルーポ・タカ航空のほか、アメリカ系ではアメリカン航空(AA)、コンチネンタル航空(CO)、デルタ航空(DL)が乗り入れ。観光省の統計では観光客は年100万人ほどで、近隣国を中心に、アメリカ、ヨーロッパからの旅客が訪問。アジア圏からの訪問者は少なく、日本人は約1000人から2000人超という。

 こうした状況で、観光大臣の来日にあわせ、旅行業界向けセミナー、投資促進の説明会を開催し、日本発の商品造成等で需要の増加につなげる狙い。セミナーにはエルサルバドルのランドオペレーターも同行、日本側の旅行各社と商談、情報交換を行い、今後の交流活動の活発化を促す。また、大臣来日後には業界向けのFAMツアーの開催でエルサルバドルとグアテマラの2ヶ国を巡り、サービスの水準を含め、現地事情についても旅行会社に理解を深めてもらいたい考え。
 大使館では日本からの旅客誘致にあたり、団塊世代の退職を大きな機会と捉えており、こうした層のニーズに応えるサービス、質の向上についても課題認識を持つ。これを踏まえ、5月の大臣来日時には国際協力機構(JICA)に対し、海外青年協力隊の事業でエルサルバドルへの訪問を要請する計画。これにより、観光分野の専門家にエルサルバドルでの観光、サービス業に対してサービスや質の向上を目指すアドバイスを得る考えで、ソフト面の充実につなげる。

 エルサルバドルなど中米諸国は現在、中米統合機構(SICA:Sistema de la Integracion Centroamericana)として加盟7ヶ国、オブザーバーのメキシコと合わせて8ヶ国で経済、政治的な統合を目指している。このうち、各国の観光大臣で構成する観光委員会については統合が最も進んでおり、先ごろ開催された愛・地球博においても各国共同でプロモーションを展開している。
 こうした活動は現場にも波及。中米諸国を巡る国際バスや観光警察の活動にも随所で活かされているという。たとえば、バスは各国の共通の観光資源であるマヤ文明を巡回することに利便性を発揮。中米ではエルサルバドルが最初に導入した観光警察もこれまでの経験の蓄積で、観光地の治安維持を果たしており、国境付近については、複数国で情報交換、共有化も進んでいるという。

▽安全面のイメージ改善に向け、正確な情報発信へ
 中米、特にエルサルバドルは1992年に終了した内戦のイメージが日本ではまだ残る、という印象を大使は表明。ただし、現在は既に近代化が進んでおり、中南米ではチリに次ぐ規模の投資が集まる。また、内戦時にゲリラ活動に携わった人が現在は国会議員を勤め、国の政策としても治安維持、内戦からの脱却が奏功している。5月の大臣来日時には現在のエルサルバドルについての説明も具体例を交えて詳細に行う考え。