先端ロシアのパワフルな息吹を!世界中が驚嘆する作品群が公開スタート!〜ひろきのトラベル×シネマ No.010
■社会現象化した『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』
今現在も一般消費者には、旧態依然のイメージで受け止められている訪問先がロシアではないでしょうか?しかし、首都モスクワでは最新ビル群の建設ラッシュに沸き、国際チェーンのホテル開業計画も目白押し。観光産業の整備も急速に進んでいます。同様に、映画界でも地殻変動が起きはじめています。2月の番外連載で、『大統領のカウントダウン』(3月25日公開)を紹介しましたが、今回は、そのほかの3作品を紹介します。
さて、新世代ロシアのエネルギーが沸騰した映画『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』(4月1日公開)をご存知でしょうか?
原作は、人気作家セルゲイ・ルキヤネンコのベストセラーとなったダーク・ファンタジー小説。既に本国ロシアでは続編『Day Watch』が06年元旦より公開され、ロシア映画史上の記録をさらに塗り替える大ブームを巻き起こしています。ロシアの『マトリックス』とも称され、アヴァンギャルドで斬新な視覚効果、ハリウッドでは決して描く事が出来ない独創的なビジュアルは、既成概念を超えているとの声もあがっています。第1部が本作、続編が第2部『Day Watch』、最終部には「Dusk Watch」が予定されています。「ロシアが変わった」、「エンターテインメントも楽しそう」といった印象を、強く与えてくれるでしょう。
▽映画情報
提供:FOXサーチライト・ピクチャーズ 配給:20世紀フォックス 監督・脚本:ティムール・ベクマンベトフ 原作・脚本:セルゲイ・ルキヤネンコ
4月1日、お台場シネマメディアージュほか全国公開
公式サイト:http://www.foxjapan.com/movies/nightwatch/
公式ファンサイト http://www.nightwatch-fan.com/
■異文化交流を描く寓話『ククーシュカ〜ラップランドの妖精』
前回はフィンランドで撮影された邦画『かもめ食堂』を紹介しましたが、同じくフィンランドを舞台にしたロシア映画『ククーシュカ〜ラップランドの妖精』が3月25日に公開されます。2002年度のモスクワ国際映画祭では監督賞はじめ5部門を独占。ロシア、フィンランドの両政府大使館、フィンランド政府観光局も本作に後援・協力をしています。
物語の舞台は、第二次大戦、終戦間近のフィンランド最北の地ラップランド。ロシア、ドイツ、フィンランドの軍が闘っていたこの地で、ドイツ軍に捕らえられたフィンランド兵ヴィエコは、ドイツの軍服を着せられて野外放置されます。なんとか逃げ出して辿り着いたのは、夫が不在で一人暮らしのラップランド人女性アンニの家。しかし、そこにはロシアの負傷兵が手当てを受けていました。この三者は言葉が全く通じず、互いに意思疎通ができません。アンニのペースで生活は続き、不思議な関係が生まれていきますが…。
本作は、自分の意志とは裏腹に武器を持ち戦わざるを得ない兵士たちの悲哀と戦争への疑問を、なかなかお目にかかれないラップランド特有の自然を背景に、ウィットに溢れた手法で描いています。また、国や民族、文化や言葉の違いで生じる「異文化衝突へのアイロニー」をも含むストーリーが見事。とりわけ、ある誤解から過ちを犯してしまうロシア兵の哀愁は胸に迫ります。
▽映画情報
配給:シネカノン 監督:アレクサンダー・ロゴシュキン 後援:ロシア連邦大使館、フィンランド大使館、フィンランド政府観光局 協力:フィンランド航空
3月25日、渋谷シネ・アミューズにてロードショー
公式サイト:http://www.kukushka.jp/
■美しく不思議な映像感覚を持つ『ファザー、ザン』
もう1本、現在のロシア映画界を牽引している監督の作品を紹介します。昭和天皇を描いた最新作『太陽』(05年製作)でも話題の監督アレクサンドル・ソクーロフ。世界遺産エルミタージュ美術館内で90分ワンカット撮影をし、世界中を驚嘆させた作品『エルミタージュ幻想』をご覧になった方も多いのではないでしょうか? 02年にNHKハイビジョンでもテレビ向け特別版が放映されました。
その彼が続いて手掛けたのが、今春公開される『ファザー、サン』です。軽やかで透明感に溢れた作風で、これまでの陰鬱なロシア映画のイメージを一掃する美しい映像表現は、ヨーロッパ映画のような雰囲気すら漂います。アパートの屋根裏部屋に暮らす、若くして妻を亡くした退役予備兵の父と軍の学校に通う息子、この二人の複雑な愛情を鮮やかなタッチで描き出しています。時には父子、兄弟、あるいは恋人のようにもみえ、不思議で緊張感のある世界観を表現。『ファザー、サン』の公開を記念して、『エルミタージュ幻想』など旧作の特集上映も決定しています。
▽映画情報
配給:パンドラ 監督:アレクサンドロ・ソクーロフ 後援:ロシア連邦大使館
4月GW、ユーロスペースにて公開
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/fatherson/
=====<トラベル×シネマ バックナンバー>=====
西咲ひろき
「トラベルシネマライター」として、旅行業界とエンタメ業界を股にかけて取材・執筆活動中。「ひろきのトラベル×シネマ blog」も書ききれない情報を満載し、連載中!
http://tra-cine.blogspot.com/
NO.009 北欧が熱い! 全フィンランドロケの邦画『かもめ食堂』公開
NO.008 アカデミー賞発表!ノミネート作のトラベル指数チェック
NO.007 ロケ地ツアー登場!3月4日公開『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』
NO.006 話題作が一堂に!「フランス映画祭2006」
NO.005 「北欧発で日本初!『Bio06アイスランド映画祭』」
NO.004 「新“華流パワー”を採り入れ、中国需要回復せよ!『PROMISE 無極』ほか」
NO.003 「韓流スター作品は今年も旅行商品に貢献?『美しき野獣』、『B型の彼氏』公開」
NO.002 「未来型ジャンボ旅客機が舞台。機上の密室劇『フライトプラン』に迫る!」
NO.001 「06年前半の国内公開作品の動向を知る!」
今現在も一般消費者には、旧態依然のイメージで受け止められている訪問先がロシアではないでしょうか?しかし、首都モスクワでは最新ビル群の建設ラッシュに沸き、国際チェーンのホテル開業計画も目白押し。観光産業の整備も急速に進んでいます。同様に、映画界でも地殻変動が起きはじめています。2月の番外連載で、『大統領のカウントダウン』(3月25日公開)を紹介しましたが、今回は、そのほかの3作品を紹介します。
さて、新世代ロシアのエネルギーが沸騰した映画『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』(4月1日公開)をご存知でしょうか?
原作は、人気作家セルゲイ・ルキヤネンコのベストセラーとなったダーク・ファンタジー小説。既に本国ロシアでは続編『Day Watch』が06年元旦より公開され、ロシア映画史上の記録をさらに塗り替える大ブームを巻き起こしています。ロシアの『マトリックス』とも称され、アヴァンギャルドで斬新な視覚効果、ハリウッドでは決して描く事が出来ない独創的なビジュアルは、既成概念を超えているとの声もあがっています。第1部が本作、続編が第2部『Day Watch』、最終部には「Dusk Watch」が予定されています。「ロシアが変わった」、「エンターテインメントも楽しそう」といった印象を、強く与えてくれるでしょう。
▽映画情報
提供:FOXサーチライト・ピクチャーズ 配給:20世紀フォックス 監督・脚本:ティムール・ベクマンベトフ 原作・脚本:セルゲイ・ルキヤネンコ
4月1日、お台場シネマメディアージュほか全国公開
公式サイト:http://www.foxjapan.com/movies/nightwatch/
公式ファンサイト http://www.nightwatch-fan.com/
■異文化交流を描く寓話『ククーシュカ〜ラップランドの妖精』
前回はフィンランドで撮影された邦画『かもめ食堂』を紹介しましたが、同じくフィンランドを舞台にしたロシア映画『ククーシュカ〜ラップランドの妖精』が3月25日に公開されます。2002年度のモスクワ国際映画祭では監督賞はじめ5部門を独占。ロシア、フィンランドの両政府大使館、フィンランド政府観光局も本作に後援・協力をしています。
物語の舞台は、第二次大戦、終戦間近のフィンランド最北の地ラップランド。ロシア、ドイツ、フィンランドの軍が闘っていたこの地で、ドイツ軍に捕らえられたフィンランド兵ヴィエコは、ドイツの軍服を着せられて野外放置されます。なんとか逃げ出して辿り着いたのは、夫が不在で一人暮らしのラップランド人女性アンニの家。しかし、そこにはロシアの負傷兵が手当てを受けていました。この三者は言葉が全く通じず、互いに意思疎通ができません。アンニのペースで生活は続き、不思議な関係が生まれていきますが…。
本作は、自分の意志とは裏腹に武器を持ち戦わざるを得ない兵士たちの悲哀と戦争への疑問を、なかなかお目にかかれないラップランド特有の自然を背景に、ウィットに溢れた手法で描いています。また、国や民族、文化や言葉の違いで生じる「異文化衝突へのアイロニー」をも含むストーリーが見事。とりわけ、ある誤解から過ちを犯してしまうロシア兵の哀愁は胸に迫ります。
▽映画情報
配給:シネカノン 監督:アレクサンダー・ロゴシュキン 後援:ロシア連邦大使館、フィンランド大使館、フィンランド政府観光局 協力:フィンランド航空
3月25日、渋谷シネ・アミューズにてロードショー
公式サイト:http://www.kukushka.jp/
■美しく不思議な映像感覚を持つ『ファザー、ザン』
もう1本、現在のロシア映画界を牽引している監督の作品を紹介します。昭和天皇を描いた最新作『太陽』(05年製作)でも話題の監督アレクサンドル・ソクーロフ。世界遺産エルミタージュ美術館内で90分ワンカット撮影をし、世界中を驚嘆させた作品『エルミタージュ幻想』をご覧になった方も多いのではないでしょうか? 02年にNHKハイビジョンでもテレビ向け特別版が放映されました。
その彼が続いて手掛けたのが、今春公開される『ファザー、サン』です。軽やかで透明感に溢れた作風で、これまでの陰鬱なロシア映画のイメージを一掃する美しい映像表現は、ヨーロッパ映画のような雰囲気すら漂います。アパートの屋根裏部屋に暮らす、若くして妻を亡くした退役予備兵の父と軍の学校に通う息子、この二人の複雑な愛情を鮮やかなタッチで描き出しています。時には父子、兄弟、あるいは恋人のようにもみえ、不思議で緊張感のある世界観を表現。『ファザー、サン』の公開を記念して、『エルミタージュ幻想』など旧作の特集上映も決定しています。
▽映画情報
配給:パンドラ 監督:アレクサンドロ・ソクーロフ 後援:ロシア連邦大使館
4月GW、ユーロスペースにて公開
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/fatherson/
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西咲ひろき
「トラベルシネマライター」として、旅行業界とエンタメ業界を股にかけて取材・執筆活動中。「ひろきのトラベル×シネマ blog」も書ききれない情報を満載し、連載中!
http://tra-cine.blogspot.com/
NO.009 北欧が熱い! 全フィンランドロケの邦画『かもめ食堂』公開
NO.008 アカデミー賞発表!ノミネート作のトラベル指数チェック
NO.007 ロケ地ツアー登場!3月4日公開『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』
NO.006 話題作が一堂に!「フランス映画祭2006」
NO.005 「北欧発で日本初!『Bio06アイスランド映画祭』」
NO.004 「新“華流パワー”を採り入れ、中国需要回復せよ!『PROMISE 無極』ほか」
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NO.002 「未来型ジャンボ旅客機が舞台。機上の密室劇『フライトプラン』に迫る!」
NO.001 「06年前半の国内公開作品の動向を知る!」