▽やわらかな光に包まれる　あたたかなクリスマス
　キャンドルのやわらかな光が恋しくなるこのシーズン、スカンジナビアはクリスマスムード一色です。スカンジナビア政府観光局スタッフＡは、出張でデンマークのコペンハーゲン、ノルウェーのオスロ、スウェーデンのストックホルムを訪れました。現地はクリスマスプレゼントを買い求める人々でおおいににぎわい、街や街路樹を彩るイルミネーションは、蛍光灯や最近流行のLEDの機械的な光などとは違い、街は白熱灯のあたたかい色で包まれ、1年でいちばんぬくもりを感じる季節です。この日の最高気温は5度。割合にあたたかく、手袋なしで外を元気に歩き回ってきました。

写真：コペンハーゲンの観光名所、チボリ公園正門のイルミネーション。園内では今月末までにぎやかなクリスマスマーケットが開催中。

▽お菓子に雑貨、見るだけでも楽しいクリスマスマーケット
　11月末からクリスマスにかけて、スカンジナビア各地では「クリスマスマーケット」という市があちこちにたちはじめます。通常は週末に、デパートやショッピングセンターのクリスマスフェアはもとより、街の広場や野外博物館などさまざまな場所で小さなお店が開かれるのです。そのお店で売っているものといえば、クリスマスツリー、そのツリーに飾るオーナメント、クリスマス用のお菓子、クリスマスカード類、クリスマス時期だけに飲まれる「グリュッグ」（スパイスとナッツをまぜたホットワイン）など。クリスマスに関するありとあらゆるものが売られているので、みんな（とくに女性たち）は品定めに真剣そのもの。

写真：ストックホルムにある「スカンセン野外博物館」内のクリスマスマーケット。野外広場にはたくさんの市が立ちますが、広い丸太小屋の中では、キャンドルホルダーやスウェーデンテキスタイルを使ったクリスマス用のキッチンクロスなどが売られています。

▽コレクションしたくなる目にもあざやかなクリスマスグッズ
　ずらりと並んだ、クリスマスツリー用のオーナメント。色も形もバリエーションが豊富で、見ているだけで楽しくなります。その国の特徴あるオーナメントもあり、たとえばデンマークならトレードマークの真っ赤なハート型、ノルウェーなら真っ白なレース細工の雪の結晶型、スウェーデンなら「ルシア姫」※をかたどった木彫り人形といった具合です。いずれも可愛らしく、家にツリーもないのについつい集めたくなってしまいます。それは現地の人も同じようで「毎年、家族と一緒にオーナメントを買うの」と、小さな子どもを連れて買い物に来ていた女性が楽しそうに話していたのが印象的でした。

※ルシア姫…スウェーデン独特のお祭りに「ルシア祭」というお祭りがあります。これは毎年決まって12月13日に行われるもので、白い衣装に真っ赤な帯を結び、髪にキャンドルを飾ったルシア姫が冬の闇を追い払うという行事です。

写真：カラフルなクリスマスオーナメント。オスロのデパート内にあるクリスマスグッズのお店にて。

▽ツリーのまわりで歌って踊って楽しくお祝い♪
　ストックホルムはスカンセン野外博物館でのこと。楽隊が奏でる音楽に合わせ、小さな子どもたちとお父さんお母さんと一緒に楽しげにくるくるとツリーの周りを踊っていました。スキップしたりしゃがんだり、まるでお遊戯のよう。空気が冷たいので、子どもたちもスキーのつなぎのような格好でカラフルなニット帽をかぶせられ、あたたかい手袋をはめて元気に動き回っていました。もっと小さい赤ちゃんたちも、ぬくぬくの毛皮が敷かれたベビーカーに乗せられ、にぎやかな一団を目で一生懸命追っていました。スウェーデン語の歌詞の意味はわからなくても、その場でいるだけで一緒に楽しくなってしまいます。

写真：スカンセン野外博物館のクリスマスマーケットは、だいたい11時から16時まで。スカンセンへは、ストックホルム市内からフェリーまたはバスで簡単にアクセスできます。

▽「ケーキ」といえばジンジャークッキー！
　日本ではクリスマスケーキといえばデコレーションケーキを思い浮かべますが、スカンジナビアではこれがジンジャークッキーになります。現地では「ジンジャーケーキ」と呼んでいます。主にハート型や星型などがあり、スパイスを混ぜたホット赤ワイン「グリュッグ」などと一緒にスカンジナビアのクリスマスシーズンのお菓子として登場します。このクッキーをかじりつつ、「グリュッグ」で体を暖めながらマーケットをのぞいて歩くのが楽しいのです。ひとりで訪れても、ふたりで訪れても、素朴で心がほっこりあたたかくなるスカンジナビアのクリスマス。一度は体験してみることをおすすめします。(スカンジナビア政府観光局スタッフＡ)

写真：大きなジンジャークッキーに、アイシング（ケーキの装飾によく使われる、粉砂糖と卵白を練り合わせてペースト状にしたもの）できれいに飾り付けられたものもよく見かけます。