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NAA、PNYNJとMOU、姉妹空港の関係強化、eタグ実証実験も促進

  • 2005年10月3日
 成田国際空港(NAA)はこのほど、アメリカのニューヨーク・ニュージャージー港湾局(PANYNJ)と姉妹空港関係構築の覚書の再調印、および成田/ジョン・F・ケネディ空港間の手ぶら旅行およびeタグ実証実験の協力に関する覚書に調印した。NAAは1998年10月にPANYNJと(1)双方の友好関係、(2)日米を代表するゲートウェイ空港として両空港間の航空輸送への貢献、(3)旅客サービス、保安、安全、貨物などの相互協力などで目的とした覚書を調印していた。しかし、PANYNJが管理する覚書が本社を置くワールド・トレード・センタービルで保管していたことから消失。PANYNJ航空局長のウィリアム・デコタ氏の来日に合わせ、再調印をしたもの。NAAは覚書調印する以前の1993年から、人事交流を図り、相互の協力関係を構築している。

▽eタグ実証実験は米TSA当局の安全性基準を充たすかが鍵
 手ぶら旅行およびeタグ実証実験についてもNAA、PANYNJで覚書を締結。NAA代表取締役社長の黒野氏は、「ゴルフバッグも宅配業者に預けてゴルフをする時代。(数十年先まで)トランクをがらがらと引いているのは馬鹿げた話」と前置きし、「手ぶら旅行の実現と同時にセキュリティを確保することは航空関係者の共同の夢」と語り、今回の意義を強調する。
 NAAはこれまで全日空(NH)、日本航空(JL)の航空会社だけでなく、宅配業者も含めて包括的な手ぶら旅行の実現に向けて実証実験を進めてきた。既にNH、JLはこうしたサービスを開始しているが、アメリカについてはセキュリティの問題から実現を見ていない。こうした現状に黒野氏は「実際に実証実験を開始する時期はこれから1年ぐらいかかる」との見通しを述べ、PANYNJの協力を最大限に仰ぎたいという意向だ。また、実証実験は1ヶ月程度の期間に実施する。リアルタイムで技術評価を受けることから、アメリカ運輸保安局(TSA)が指摘するセキュリティ上の問題点をクリアし、「望む結果を収めたい」という。
 ただし、セキュリティ面での厳重な体制を維持することから、オペレーション上でこうした手ぶら旅行の実現を見ていないアメリカ。デコタ氏は「ニューヨークについてはペンシルバニア駅から空港への鉄道を計画し、この路線開通に際して駅でのチェックインの実現したい」と語り、こうした駅でのチェックインと2空港間でシームレスに旅客の荷物が安全に運ばれることをNAAと共に進めたいという。