関空、8月国際線は前年並み、一部に中部開港の影響、利用拡大策で対処

  • 2005年9月15日
 関西国際空港によると、8月の国際線航空旅客数は前年並みとなる104万4300人、国内線は24%増の49万8570人となる見込み。国際線旅客便の発着回数は前年並みの5099回、国内線旅客便は32%増の3527回。

 また、夏期繁忙期の7月22日から8月21日の1ヶ月間、出入国者数は2.2%増、人数ベースでは2万2000人増の102万9800人。出国者数は2.3%増、人数ベースでは1万1700人増の52万8800人、入国者数は2.1%増、1万300人増となる50万1000人であった。出国ピークは8月13日の2万1500人、入国ピークは8月20日の2万1300人、出入国をあわせたピークは4万500人である。
 出国者数の渡航先別では韓国が前年比3.0%増の8万8100人と最も多く、次いで中国が6.5%増の7万9800人、北アメリカが2.8%増の5万8800人、ヨーロッパが0.8%増の5万1900人、東南アジアが6.0%増の4万7700人となっている。ただし、韓国、中国については供給量の増加に比べ、旅客の伸びは鈍化しており、反日デモの影響が残っているようだ。特に、香港を単独で見た場合、27.4%減の3万3400人となっているが、逆に台湾は53.4%増の3万5600人と需要のシフトが夏期繁忙期に顕著に現われた。

 なお、関西国際空港では中国の需要回復に向けたキャンペーンを計画しており、概要が纏まってきている。これは関空に就航する航空会社と中国国家観光局、旅行会社と共に格安ツアーを企画。関空が日本国内では中国各都市と最も多くの路線を展開することを活用し、集客をしていく。

▽NH事業計画の変更に一定の理解
 中国方面の新規就航、全体の需要拡大に向けて努力
 また、関西国際空港副社長の平野忠邦氏はこのほど、全日空(NH)の国際線事業の計画変更に伴う旅客便の対応について、成田、中部での増便、関西の減便について遺憾との考えを示した。これは関西経済団体連合会を中心とし、特に中国東北部への投資を働きかけられており、今後の関西圏/中国間の交流活発化を見通した発言。今回のNHの減便は上海、大連であったことから、特にこうした機運にはマイナス要素となる。
 一方で、日中航空交渉の進展が今回の措置の背景にあることに理解。これまでも臨時便で対応していたNHの姿勢に一定の評価をすると共に、今後は日中航空当局間の協議がまとまる方向について期待感を示した。また、先ごろ山東省を訪れたエアポート・ミッションの際、山東航空が日中航空交渉での合意した場合、高い角度で関空へ就航する見通しを明らかにした。山東省は和歌山県と友好関係にあり、こうした意味合いから、関西空港へ就航することで、山東/和歌山間の交流促進に期待を示しているという。

 また、NHの中部増便に関し、関西空港における中部開港効果で国際線旅客の伸びに若干の減少要因が働いているという認識を平野氏は示す。従来は成田/関空の境界にあった地域については開港を期に利用する意欲が働いているものとしている。特に、三重県、また静岡、岐阜の両県でも中部国際空港を利用する場合が多いという。これによる旅客数の影響は2%減程度とみており、このところの需要について「旅客増となるところが伸びていない」(平野氏)ようだ。今後は、中部発の旅行商品の展開などを注視していく考え。
 これに対し、関空では先ごろ、関空利用促進ツアーコンペの企画を発表。旅行会社から関空発の旅行商品の展開に対し、パンフレット印刷や新聞広告等のサポートとして総額1200万円の協賛金を提供する計画だ。平野氏によると、この企画は複数の旅行会社から関西空港のサポートを要望する声を受けた企画であることから、複数社の応募があるものと見込んでいる。また、国内各都市に就航する路線を利用した関空経由の海外旅行についてもツアー造成を働きかける考え。こうした施策で旅客の利用増をめざす。