セントレア、開港半年は予想を上回る旅客数、万博後の課題が浮き彫りに

  • 2005年8月15日
 中部国際空港(セントレア)取締役副社長の山下邦勝氏は17日に開港から半年を迎えた状況と今後の課題などを語った。山下氏は「大きな事故なども無く、空港運営の面でも総じて順調」と語り、当初想定した旅客需要を上回る現状を総括した。国際線旅客は開港から6月末までのところ、旧名古屋空港実績比で29%増の193万6912人となり、セントレアが開港前に想定した需要予測比でも7%増。また、国内線は12%増の265万5343人となり、こちらもセントレアの需要予測比で7%増を記録している。山下氏によると、想定の1割を上回る需要動向について山下氏は「好調の要因は万博効果も含まれており、3月までは想定どおり。開港前の旅客需要の想定である1200万人の着地は可能」という。万博需要については、平均的に国際線を利用する外国人は1日1000人、国内線は1日3000人程度とみており、万博終了後の旅客の確保は一段と重要性を増している。
 この万博後の利用客については、内際の乗継ぎ利便を整えた日本初の空港としてセントレアは開港前からアピールしており、地方都市からの乗継ぎ客の利用増加は大きなポイントとなる。現在までのところ、地域別では21便/日が就航する福岡線の乗継ぎ客が最も多く、次いで13便/日の札幌線、8便/日の沖縄線、5便/日の仙台線、7便/日の鹿児島線が好調という。ただし、総乗継客数は月間約3000人程度と頭打ちの状態で、万博需要による好調な国内線において座席を確保するのは難しいところだ。こうした現況を踏まえ、セントレアでは地元経済界などと協力し、乗継の多い都市を中心としたキャンペーンを展開していく方針。

 また、山下氏は最近の名古屋圏での企業への旅客利用促進活動を展開しており、こうした活動において欧米の路線が足りないという企業側の声があるとも言及。特に、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン線などに対する要望がある。先ごろ、フィンランド航空(AY)が来年6月から週3便での就航予定を表明しているが、「もう数社の開設に向けてがんばりたい」との意欲を示す。欧州については日本航空(JL)のパリ線、ルフトハンザドイツ航空(LH)のフランクフルト線がデイリーで就航しており、この2路線については供給の安定による需要の定着が図られており、「それなりの旅客は乗っている」状況のようだ。
 ただし、就航前に想定していたよりもビジネス旅客が少ないことも現状で、これについて山下氏は「旅客がいないというより、成田発などを利用する企業側の体制の問題もある」と指摘しており、これについては積極的な路線誘致を経済界と進めてきた経緯を踏まえ、今後は各企業にセントレアの利便性を改めて訴えていく。こうした活動で具体的な旅客数として結果に結びついた場合には、更なる路線の増加にもつながるとの考えを示している。