クラブメッド、アジアでの回復はやく、積極的な施策を推進へ

  • 2005年8月5日
 クラブメッド・アジア太平洋地区社長兼CEOのジョエル・ティフォネ氏が来日、地中海クラブ代表取締役社長の森本大氏と共に現在の世界的に展開するキャンペーンの状況や今後の見通しなどを語った。クラブメッドの2004年度(2003年11月〜2004年10月)は16億ユーロの収益、集客数としては140万人、このうちアジア太平洋地域は20万人で、その50%を占める10万人が日本人客だ。05年の状況は「アジアでの津波、カリブ海での台風の影響などマイナス面はあるものの、こうした施設の運営を除くと前年比1.5%増と上々の推移」とティフォネ氏はいう。このうち、アジア地域については、津波以前に運営していたモルディブのカニフィノール・バカンス村を10月21日にリニューアル・オープン。また、プーケットについては2月に中国の旧正月を控え再開していたが、9月初旬に一部の改修などを済ませ、リオープンするなど、アジア地域での受入れ体制を改めて整えている。なお、モルディブのファルコルフシ・バカンス村についてはモルディブ政府との契約が残り1年であったことから、再投資については保留。現状のままクローズとなる公算だが、ティフォネ氏は「ヨーロッパなどからチャーター便を運航して送客しており、効率を考えれば、モルディブは2バカンス村を運営したい」と語り、早期にモルディブを津波以前の戻す体制へと戻す意欲を示す。
 なお、アコーホテルズが先ごろ、28%の株式を取得し、クラブメッドへ出資。これにより、「アコーホテルズとクラブメッドが強い地域であるヨーロッパにおいて共同購買、顧客紹介、スタッフの人材交流など両社のシナジーが進行している」ところ。日本での展開に関して、既に実施されている協力体制は、クラブメッド利用客の海外でのストップオーバーについてアコーホテルの利用について。日本国内のアコー/クラブメッドのオペレーション上の協力は難しいものの、双方とも新規プロパティの開発などを模索しており、こうした場合は相互に情報を共有することをはじめ、営業面での協力についても協議中としており、今後も相互メリットを見出す方向を模索するようだ。

▽日本では新たな施策を次々と
 日本支社長の森本大氏は日本市場の動向として送客実績の10万人の内訳として「4割が海外、6割が国内で、現在までのところ前年90%を若干下回る水準で推移している」と説明する。減少の原因は海外送客の多いモルディブの2バカンス村、プーケットへの集客上の低迷などを原因としており、実質的に「20%ほど需要を押し下げる要因となっている」という。ただし、今期の着地予想としては「95%程度に落ち着く」とし、今後の取扱増に強気の見通しだ。特にマーケット全般として回復傾向にあるほか、キャンペーン展開により総じて回復が他と比較して早いと見ており、シェアが高まっていると見ている。
 こうした傾向に勢いをつける商品としてはモルディブ、タヒチ、オーストラリア、モーリシャスへのハネムーン商品。特に、挙式については提携するウエディングの手配を行い、その後のハネムーンに同行する家族などについては、「クラブメッドの特徴のひとつであるG.O.が全般的に対応することでカップル自身も十分に満足できる」と強調する。
 国内施設はカビラ、サホロの2拠点でバカンス村を展開しているが、特に冬のサホロは香港、オーストラリア、シンガポールからのインバウンド需要が強く、「毎年、倍増している」状況で、施設のアップグレードが当面の課題だ。また、新規施設についても関東、関西圏から集客が可能な長野県を中心に物件を検討しているものの、現在までのところ「適当な施設はない」としながらも、引き続き新バカンス村の展開について積極的な姿勢にあるという。
 また、現在の流通について「パッケージ商品だけでなく、非パッケージ(FITなどを含む)への対応が遅れている」と自社の状況を説明。これについて直販だけでなく、インターネットの強化に加え、他社への商品提供も拡充している。ただし、日本市場については現在、クラブメッドが世界的に利用しているデータベースでは航空券等の対応について煩雑であることから、同社の新会計年度を目途としてシステムをアップグレードする。また、個人市場についてはダイナミック・パッケージの提供も視野に入れ、システム全般的に段階的な改善を図る考えだ。
 なお、日本での社名は「地中海クラブ」として展開しているが、新会計年度にはブランド名である「クラブメッド」へと変更する。キャンペーンで「フレンドリー、マルチカルチュアル、アップマーケット」の3キーワードで展開するグローバルキャンペーンとも相まって、改めて「クラブメッド」として訴求しており、社名にも分かりやすさを求めたものだ。

▽団塊世代の大量リタイアを前にした対応
 ティフォネ氏は日本市場で今後、団塊世代の大量退職によるレジャー市場の活況が予想される事について、お金と時間を持つ人はゴルフのほか、若者世代と異なるアクティビティを充実させることが重要という。さらに、「ヨーロッパでの状況として祖父母と孫が旅行する形態が増えており、日本でも増えていく」との見方を示す。こうした旅行でクラブメッドのG.O.が日中は子供達の対応をすることで充実した休暇を過ごすことができると提案し、今後の取り組みで成長へと導く可能性は高いという。
 また、森本氏もサホロは夏がオフシーズンとなるものの、「気候は過ごしやすく、30日程度の部屋売りをし、月単位でロングステイをしてもらいたい」と現時点で検討を進めていることを明らかにした。通常の料金を30日分より割安な料金を設定し、さらに部屋にレンジを設置するなどして使い勝手の向上を図ることで、日本でのシニア層への取り組みに意欲を見せている。