ユニセフ、コードプロジェクトで実施事例を紹介、プロジェクトの第一歩

  • 2005年7月20日
 3月に発足した子ども買春防止のための旅行・観光業界倫理行動規範(コードプロジェクト)に伴い、日本旅行業協会(JATA)、日本海外オペレーター協会(OTOA)、ジェイティービー、ジャパングレイス、ジャルパック、ECPAT、日本ユニセフ協会からなるコードプロジェクト推進協議会は7月21日、東京で第1回研修セミナーを開催した。コードプロジェクトはアクションプランとして、(1)「子供買春反対」を企業ポリシーとして明文化、(2)社員教育、(3)提携企業などと契約書で子供買春を忌避する条項の記載、(4)旅行者への情報提供、(5)旅行目的地の現地有力社に関連情報を提供、(6)年次報告の実施など、具体的な行動を求めており、日本では約80社が調印済みだ。コードプロジェクト推進協の議長を務める辻野啓一氏(JTB広報室室長)は、「これまで実施した三度の協議会で具体的に話しを詰め、このほど日本語版コードオブコンダクトを作成しており、改めてアピールするため、ロゴマークの設定を検討している」と調印式の3月以降に進めてきた活動を紹介。「協議会ではアクションプランの(1)を紹介できる状況」と報告した。また、JATA事務局次長の米谷寛美氏は、「今回のセミナーが第一歩。観光業は世界との接点が多く、子供の買春撲滅に役立てることが多い。経営者の意思表示としてコードプロジェクトに参加して頂き、推進協議会へ関心がある方は積極的に問い合わせ頂きたい」と語り、業界全体での協力体制に期待を示した。

▽具体的なコードプロジェクトの運用を紹介
 今回のセミナーでは、会社の就業規定の中に織り込む際の文言など、具体的な事例を説明した。例えば、JTBは来年4月から持株会社化をふまえ、グループの行動規範に子供の人権保護への貢献として、明確な表現を盛り込んだ。その他、社員教育は来年4月から取り組み開始、取引企業との契約条項は来年4月に各社と条約更新する。また、旅行者への情報提供はJATAと業界内の統一文書を検討している段階で、06年度のパンフレットから文書で明記する予定だ。さらに、現地有力会社への情報提供についても、業界全体の取り組む考えから、JATAと統一文書の作成を検討している。
 また、ジャパングレイスは昨年12月に社内で委員会を立ち上げ、委員会の参加希望者を募集。既に22名が集まり、昼休みを利用した活動をしている。内容としてはECPAT/ストップ子ども買春の会の斎藤恵子氏を招き、社内講習を実施するほか、ツアー参加者への説明会でコードプロジェクトについて同社の取り組みを伝達。船上では船内新聞で周知を図ることもしているという。また、提携企業に対しては契約書で条項を記載するには至ってないものの、3月のコードプロジェクト調印を各社に英文で報告したという。ジャパングレイス取締役本部長の井筒陽子氏は、「まずは社内でコードプロジェクトの委員会を設立することとが大切」と語り、「肩書きがある人が責任者になることで、スタッフが参加しやすい環境が作れる」とプロジェクト推進のためのポイントを語り、小さい取り組みから始めることを提案した。