成田、滑走路延長は北側に、今後は20万回から22万回の発着枠増大へ

  • 2005年7月15日
 成田国際空港(NAA)代表取締役社長の黒野匡彦氏は15日、国土交通大臣の北側一雄氏に第二滑走路の延長について北伸案(滑走路を北側に延伸する案)を採用する旨を伝えた。この決定は最終決定となり、今後、大臣自らが千葉県など地元の理解、北側延伸による飛行場の変更認定など種々の調整を経て、今月末を目処に最終決定となる。
 黒野氏は会見で感想を求められ「8割は残念の気持ち。2割は2500メートル化の目処が付きほっとしている」と胸の内を語る。「外国の航空会社にも(離着陸の制限など)迷惑をかけ」ていることもあり、用地交渉については、「目標に向けてまっすぐ進んでいたわけではない。最終合意に達するまで、2年、3年とまた待つわけには行かない」と苦渋の決断である考えを示唆した。また、本来計画(南側への滑走路の延伸)が実行できなかった責任について、「(進退・結論を出す時期など)全体について悩んでいる」とした。
 今回の報告により、大型機の離着陸が可能となるほか、NAAが事業計画で示す現在の年間20万回の離発着から22万回まで拡大する機会が生まれる。また、上場を目標としているが、2500メートル化の方向性が出たことで、株式購入において投資家のプラス材料に働く見方もある。ただし、本来計画では工事費190億円のところ、北伸案では330億円と費用が増大するほか、完成の歳月も本来計画3年のところ北伸案は6年。黒野氏は「全社を挙げて北に延伸する滑走路の完成に最大の力点を置く」として、工事期間の短縮などについても言及した。