JATA、経営フォーラムを開催、「旅行業のあるべき姿」を議論

  • 2003年2月19日
 日本旅行業協会(JATA)は第11回「JATA経営フォーラム」を開催、「旅行業のあるべき姿」をテーマに議論が交わされた。開会にあたり、新町光示JATA会長は「昨今、旅行客が物的ではなく質的な価格感が変化している」と言及、「旅行業が産業としてどのように魅力ある商品を提供できるか、また国家戦略と掲げられる『観光』に業界として貢献することが重要である」と述べた。また金澤悟国土交通省観光部長は「観光は関与する人々の多さゆえ、社会や経済に与える影響は大きいことから21世紀の基幹産業になりうる」とした上で、「グローバル観光戦略でインバウンドの強化を図る」と挨拶した。
 なお、「旅行業経営分析」ではツーリズムマーケティング研究所の高松正人氏が発表した旅行業経営分析によると、9.11事件の直接的な影響で減少した人数は400万人程度に過ぎず、むしろ消費の低迷や、需要回復のための破格商品の市場投入など間接的な影響が回復を遅くしている原因となっている。特に破格商品は、値ごろ感の低下や更に安価な商品への期待による間際予約の増加という結果をもたらしたという。現状では収益性が高く販売量の多い既存の商品販売にのみ力を注ぎがちだが、これからは多様化するマーケットに合わせ、ライフスタイル、ニーズを反映させた新しい商品造成が需要回復の鍵となるとアドバイスした。
 また、現在の旅行マーケットを牽引するシニアに加え、新たに30代の女性に注目することを提案。これは30代女性が海外旅行者全体の8.7%を占め、出国率が10年間で2.5倍に上昇していることに加え、団塊ジュニア層が今後30代の中心に至る点、既婚率の低下などの理由から今後の成長が期待できるとしている。ただし、この世代の女性層を掴むジャルパックの「魅せられチャイナ」をはじめとする商品群を見ると、この層の特性と言われる「お仕着せではない」商品の企画力が重視されなければならないだろう。