HX、日本市場を本格開拓「2年後にアジア第2位へ」 日本人客は2年間で倍増、旅行会社との連携強化

日本販売の9割超がBtoB、旅行会社への投資を強化

 日本戦略で特徴的なのが、旅行会社を中心とするBtoBへの明確な軸足だ。

 会場で今後の広告・マーケティング投資について質問を受けたDaubourg氏は、日本では90%以上がBtoBチャネルと説明。このため投資もトレードパートナーとの共同活動や業界向けイベントなどを中心とし、現時点でテレビやラジオなど大規模なBtoC施策は特に計画していないとした。

 Joe Zou氏も、日本の主要パートナーとの連携をさらに強め、その先にあるサブエージェントまでネットワークを広げていく考えを示した。

旅行会社とのBtoB連携強化を進めるVP, Commercial AsiaのJoe Zou氏

 すでに日本市場などを支援する新たな事業開発担当者を配置したほか、日本語パンフレットやマーケティング素材も整備。旅行会社向けの商品・目的地研修、セールスガイド、旅程の説明資料、安全・サステナビリティ関連情報などを拡充する。

 さらに、日本の旅行会社を対象とした南極へのFAMも計画する。11月にハイブリッド推進船「MS Fridtjof Nansen」に旅行会社関係者を招き、船と南極でのエクスペディションを実際に体験してもらう予定としている。

FIT拡大へ、日本語対応も検討

 日本市場をさらに広げるには、添乗員同行型の商品だけでなく、FITが参加しやすい環境づくりも課題となる。

 日本人コーディネーターなどを乗船させる可能性を問われたRainer氏は「イエス」と回答。日本人の乗船人数などにもよるとしながら、日本人コーディネーターや日本語を話すエクスペディションの専門家、通訳などを配置し、日本人客が船内プログラムを十分に体験できる環境を整える意向を示した。AIなどの技術を翻訳・通訳の補助として活用する可能性にも言及した。

 HXはFITに加え、富裕層、時間と旅行経験のあるアクティブシニア、教育・スタディーツアー、写真や自然史など共通の関心を持つ小グループなどにも成長余地を見込む。

「南極」がエクスペディション旅行への入口に

 現在、日本人によるHXの予約では南極が約8割を占める。同社によれば、これはエクスペディション・クルーズ市場が発展する際に多くの国で見られる傾向だという。

 同社によると、初回は比較的短い南極の旅程を選び、その後、フォークランド諸島やサウスジョージアを組み合わせた長期旅程へ進むケースも多い。さらに南極を入口として、グリーンランド、スバールバル、アイスランドなど北極圏の目的地へ関心が広がるという。

 日本市場についてDaubourg氏は、南極の次に北極圏が成長し、その後は日本から比較的アクセスしやすいアラスカにも可能性があると予想。HXで南極に次ぐ人気目的地というガラパゴスも候補に挙げた。

 Rainer氏は「日本市場にはすべての目的地を提供する」と強調したうえで、市場が成熟するにつれて「南極から始まり、関心がほかの目的地へ広がっていく」との見通しを示した。

» 次ページ:南極観光の成長と環境負荷、HXが重視する「科学」の役割