【Founder’s Eye】旅行会社の「新規事業」、なぜ失敗するのか 成功と失敗を分けるもの
一定の固定客、それも長年のお付き合いがあり、個人的にも交流のあるお客様を持つ旅行会社は少なくない。
当然、多くの経営者は自社のお客様に「旅行」以外を販売することを一度は考えたこと、或いはトライしたことがあるのではないだろうか。
当社でも何度となく検討し、その内幾つかは実行に移した。
結論から言えば、結構失敗した。
当社に限って言えば、祖業である旅行会社向け国際航空券の卸売の派生商品やサービスに関しては打率3割程度でビジネスとして成立した。
一方、これまでと全く違うサービス・商品を提供する事業や顧客対象を旅行会社以外とした新規事業、例えば清掃事業者への外国人派遣や飲食店経営は悉く失敗した。
これは当社の力量やリソースの問題が主たる理由だと思うものの、中小規模の会社にとって、全くの「新規事業」「新規市場」への取組はかなりハードルが高いのも事実だろう。
業界内の知人の会社を見ても、成功しているケースは、これまでのお客様に新たな商品・サービスを提供する、又は既存サービスを新たな顧客層に提供するパターンが大半のように見受けられる。新商品・サービスを新たな市場へ提供する試みで成功しているケースは、ほぼ見当たらない。
より具体的には、業務渡航を専門としていた会社が、顧客企業の従業員向けにクルーズ旅行を提案する。ホールセラーがビザ取得代行サービスを旅行会社へ提供する。地域を熟知するDMOが、その知見や事業者とのネットワークを生かしてDMC機能を持つ。こうした展開では成功事例が見られる。
共通するのは、商品、顧客、あるいは事業の土台となる領域のいずれかに、既に自分たちの知見やネットワークがあることだ。
もう一つは、なにもかも自前に拘らず、自社に足りない知見やリソースは他者の協力を得て進めていることだ。
要するに、
「知っている顧客に、新しい商品を売る」
「知っている商品を、新しい顧客に売る」
このどちらかなら、まだ勝負になる。
しかし、
「知らない商品を、知らない顧客に売る」
となると、一気に難易度が上がる。
だからこそ、新たな商品・サービスの開発、新規市場開拓においては、適切なパートナーを見つけることが出来るかどうかが、成功を大きく左右するのでは無いだろうか。
中小企業が、新しい商品も、新しい市場も、新しい人材も、すべて自前で揃えるのは難しい。
だからこそ、「誰と組むか」が重要になる。
何処に、どんな知見を持った会社や人がいるのか。それを知るだけで、新しい事業へのハードルはかなり下がるのではないだろうか。
そうした出会いを作ることも、業界メディアであるトラベルビジョンはもとより、関係する団体や企業がそれぞれの立場で担っていくべき役割の一つではないだろうか。
今月の一軒(出張メシ)
■しゃぶ長(大阪)
大阪南の繁華街にある、しゃぶしゃぶ(すき焼きもある)一人鍋のカウンター中心のお店。
ここのしゃぶしゃぶ用の胡麻ダレは絶品。是非、大蒜も入れてご賞味あれ。
先代の頃から通っており、現在は息子さんと若いスタッフで切り盛りされている。美味しくて気持ちの良いお店、予約必須。
エフネス(トラベルビジョン)Founder。旅行業界向けメディアの運営を軸に、観光領域の事業開発に取組む。

