フィジー、日本市場1万4000人へ販売基盤強化 成田線週3便化、Mataiで80人育成
フィジー政府観光局は、日本市場で旅行会社との連携と販売人材の育成を強化する。9月10日、都内でMatai Programmeローンチイベントを開催し、旅行業界向けオンライン研修・認定制度「Fiji Matai Specialist Training Programme」の日本語版を披露した。日本人旅行者のフィジー渡航が回復基調を強めるなか、旅行会社のデスティネーション知識や商品提案力を高め、商品造成と販売につなげる。会場では今年度、80人のスペシャリスト育成を目標とすることも明らかにした。
日本市場1万4000人へ、成田線も週3便体制に
日本からフィジーへの渡航者数は、2026年7月が932人で前年同月比27.7%増、1~7月累計が5383人で20%増となった。2026年7月までの直近12カ月では9524人に達している。フィジー政府観光局は2026年通年で1万4000人を目標としており、9月9~10日にはHIS、JTB、阪急交通社の3社とそれぞれ個別にパートナーシップ協定を締結。商品造成や販売促進、人材育成などを通じ、日本市場での送客基盤拡大を進めている。
日本市場の拡大に向けては、航空供給の増強も図る。会場では、フィジー・エアウェイズの成田―ナンディ線について、2027年上期から週3便体制とする計画が示された。来日したフィジー政府観光局CEOのパレシュ・パント氏も、旅行会社による販売拡大が追加の航空供給につながるとの考えを強調し、日本市場でさらなる増便を目指す姿勢を示した。
「Matai」で旅行会社の販売力を底上げ
こうした日本市場の需要拡大を販売面から支える施策の一つが、旅行会社の販売力強化だ。パントCEOは今回、日本を重点市場とする方針を改めて強調した。Mataiについては、既存の英語版をそのまま日本語化したものではなく、主要なパートナーの意見を取り入れ、「日本人旅行者が何を求めているのか、どのように届けるのか」という視点から構成したと説明。販売ツールや旅程作成のヒントなどを提供し、ハネムーン、ダイビング、ファミリー、教育旅行、文化、自然、サステナブル・ラグジュアリーなど、多様な切り口で旅行商品の提案を支援する考えを示した。
また、パント氏は日本人旅行者について、名所を見るだけではなく、訪問先の人々と交流し、文化を学び、体験によって旅行後も豊かさを感じられるような「本物の体験」への関心が高まっているとの見方を示した。フィジーでは文化が観光向けに「保存」されているのではなく、日常の中で実践されているとし、こうした文化や人々との交流を含む体験を旅行商品として提案していく重要性を強調した。
Mataiは旅行会社、OTA、ランドオペレーター、トラベル・アドバイザーなどを対象とした無料のオンラインプログラム。PCやスマートフォンから受講でき、自然、文化、美食、ウェルネス、地域ごとの観光資源、サステナブルツーリズムなどを日本語で学べる。公式発表では、修了者に認定証を発行するほか、FAMツアーへの優先参加やセールスツール、画像素材、観光局によるマーケティング支援などを用意する。
会場ではさらに、受講後の販売活動まで促す仕組みが紹介された。全コースを修了すると「ブロンズ」のステータスを取得し、その後、フィジー旅行の販売実績の登録など、実際の販売・プロモーション活動に応じて「シルバー」「ゴールド」へステータスアップする。上位になるほど現地視察旅行への優先案内やマーケティング支援などの特典を拡充する考えで、単なるデスティネーション研修ではなく、学習を実際の販売につなげる設計とした。
FIT・教育旅行で12社・団体と連携
日本市場での取り組みは大手3社との提携だけにとどまらない。FITと教育旅行の強化に向け、計12社・団体をビジネスパートナーとして選定。FIT分野ではトラベル・スタンダード・ジャパン、旅工房、エアトリ、ファイブスタークラブ、エス・ティー・ワールド、トーホートラベル、カモメツーリストの7社、教育旅行分野では日本旅行、東武トップツアーズ、South Pacific Free Bird、林旅製作所、フィジー留学カラーズの5社・団体と連携する。
FIT分野では、商品開発や販売促進、共同プロモーションを通じ、柔軟性やパーソナライズされた旅程を求める日本人旅行者への対応を強化する。教育旅行では、英語学習に加え、現地での文化交流や環境保全活動、体験型プログラムなどを組み合わせ、学校や大学向けの教育プログラムを共同で開発していく。
フィジー政府観光局アジア局長のヴィンセント・チェン氏は、日本のFIT市場では、旅行者がまだ広く知られていない場所での体験や、地域の人々、文化とのより深い触れ合いを求める傾向が強まっていると指摘。文化体験や熱帯雨林トレッキング、美食、ウェルネスなど、フィジーの多様な素材を生かした商品の共同開発を進める考えを示した。
ケムエリ・ナイガマ駐日フィジー大使も、日本を「戦略的に重要な市場」と位置付け、共同プロモーションや旅行業界との連携を通じて、コロナ禍前の水準への回復だけでなく、それを上回る市場拡大に期待を示した。
旅行会社との連携はすでに具体的な販促にもつながっている。HISは政府観光局との協定締結に合わせ「ついてるフィジー」キャンペーンを展開し、フィジーのパッケージツアーを対象に、現地アクティビティや対象ホテルでのアーリーチェックインなどを特典として設定した。
フィジー政府観光局は、日本市場での施策を認知向上にとどめず、Mataiによる販売人材の育成、大手旅行会社との協業、FIT・教育旅行分野でのパートナー網の構築、商品開発・販売促進へと広げている。航空供給の増強も見据えながら、回復する需要を継続的な市場成長につなげられるかが今後の焦点となる。



