5%以上の賃上げ、中小企業が大企業上回る 人材確保へ賃金上昇続く
東京商工リサーチの「TSRデータインサイト」が8月14日に公表した2026年度「賃上げに関するアンケート」調査によると、賃上げ率を「5%以上」とした割合は中小企業が42.6%となり、大企業の41.4%を上回った。中小企業が大企業を上回るのは2023年度以来3年ぶり。物価高や人手不足などを背景に、中小企業にも高水準の賃上げが広がっている。
調査は7月31日から8月11日にかけてインターネットで実施し、5909社の有効回答を集計した。賃上げを実施した企業のうち、賃上げ率について回答した2979社では、「5%以上」が42.5%となり、前年度の39.6%から2.9ポイント上昇した。
1%刻みでみると、「5%以上6%未満」が26.3%で最も多く、「3%以上4%未満」の25.1%、「4%以上5%未満」の15.0%が続いた。「5%以上」と回答した割合は、中小企業が2745社中1172社の42.6%、大企業が234社中97社の41.4%だった。
一方、賃上げそのものの実施率では大企業が中小企業を上回っている。2026年度に賃上げを実施した企業は全体の83.2%で、前年度から1.2ポイント上昇。3年ぶりに前年を上回り、5年連続で80%台となった。規模別では大企業が93.8%、中小企業が82.3%。両者の差は11.5ポイントで、前年度の11.7ポイントからわずかに縮小した。
賃上げの内容をみると、「定期昇給」が72.7%で最も多く、「ベースアップ」が61.1%で続いた。ベースアップは前年度の59.6%から1.5ポイント上昇し、2年ぶりに6割台となった。規模別では大企業が71.3%、中小企業が60.2%となり、中小企業でも6割を超えた。
一方、賃金水準の足元をみると、直近の年次統計となる厚生労働省の2025年「賃金構造基本統計調査」では、一般労働者の賃金は男女計で月額34万600円となり、前年比3.1%増加した。男性は37万3400円、女性は28万5900円だった。
産業別では、旅行業が含まれる「生活関連サービス業、娯楽業」は月額29万5200円で、前年比3.3%増となった。また、ホテルや旅館などの宿泊業を含む「宿泊業、飲食サービス業」は27万7200円で、同2.9%増だった。いずれも前年から賃金は上昇したものの、全産業平均と比べると、「生活関連サービス業、娯楽業」は約4万5000円、「宿泊業、飲食サービス業」は約6万3000円低く、賃金水準にはなお差がみられる。
なお、「生活関連サービス業、娯楽業」には旅行業のほか、理美容業や冠婚葬祭業、娯楽業などが含まれ、「宿泊業、飲食サービス業」には飲食店なども含まれるため、それぞれ旅行業、宿泊業単独の賃金水準を示すものではない。
幅広い業種で賃上げが進み、中小企業でも5%以上の引き上げが広がるなか、旅行会社にとっても人材の採用・定着をめぐる競争環境は一段と厳しさを増しそうだ。

