『ガイド』という仕事を再定義する-元外資系ファイナンスが挑む高付加価値旅行 Hirovip脇舛光氏

  • 2026年8月5日
-実際の顧客層について教えてください。

脇舛 お客様の国籍は、今のところほぼ100%が米国・欧州です。アジア圏からの依頼はまだ少ないですね。年齢や属性は幅広くて、リタイア後のご夫婦や友人同士のグループも多い一方で、現役世代のビジネスパーソンや、単身の若い方のケースもあります。

ニューヨークから来た富裕層のお客様(10代)と。できるだけ服装をお客様のバックラウンド(年齢と国)に近いものに合わすようにしている。

 特に印象に残っているのが、ニューヨークからやって来た18歳の男の子。親が計画を立てて送り出した旅行でした。もともとの予定は宮島観光だったんですが、本人が急に「あるゲームに出てくる庭園が宮島のサービスエリアにあるから行きたい」と言い出して。台風で大雨の日だったんですが、ハイヤーの運転手さんと相談して、緊急対応という形で連れて行きました。それで彼はもう大満足。一方で、真夜中のニューヨークからはお父様が心配して直接連絡してきたりもして、そちらも随時対応をしました。原爆資料館には午後行くこと、お好み焼きはちゃんと食べることを伝えると安心してくれる、というようなこともありました。

 本人の希望に寄り添いながら、旅行会社が組んだ旅程や、ご家族の安心とのバランスも考えなければなりませんでした。ガイドは、予定通り案内するだけではなく、その場で何を優先すべきかを判断する仕事でもあります。そこはかなりコミュニケーション能力が求められるところだと思います。

-これまでで印象に残っている、特にラグジュアリーな依頼は?

脇舛 プライベートクルーズで宮島に行って、鳥居を独占して眺めたい、というリクエストが印象的でした。今、それが結構現実的なルートになっていて、私自身も旅行サービス手配業のライセンスを取って、地元のクルーズ業者とコラボレーションしながらプランを練って売り込もうとしているところです。瀬戸内の綺麗な景色を満喫しながら、鳥居の前で日本酒を飲んで、ドローンで撮影する。ギリシャのエーゲ海でクルーズの上からワインを飲みながらシーフードパスタを食べる、というノリを求めているんだと思います。それは東京・京都・大阪ではできない体験なので、50万円でも100万円でも払うという方がいらっしゃいます。私は、地方だからこそ提供できる価値は、まだまだあると思っています。

-今後の展望を教えてください。

脇舛 ビジネス的な観点から言うと、やはり単価を上げるような案件をもっと増やしていきたいと思っています。そのために、旅行サービス手配業のライセンスを取った後、自分で企画かつ手配したプランを売り込めるような、いわゆるDMG(Destination Management Guide)という形を目指しています。

 自分で作ったプランを自分で手配するので、ガイドとしても融通が利きやすいんです。仲介業者が入らない分、責任とリスクは自分で背負うことになりますが、その分単価は大きくできるので、そちらの方向に持っていきたいと思っています。