HIS澤田社長、AIは「事業の土台」 海外旅行No.1と次の成長戦略を語る
澤田 従来の観光中心の提案に加えて、目的型の旅行を強化していく必要があります。例えばスポーツやエンターテインメントなど、コンテンツを起点とした旅行は今後さらに伸びる分野です。また、シニア層には添乗員付きツアーなど安心・安全を重視した商品、若年層には価格を抑えた商品など、セグメントごとの最適化も重要になります。
単に商品を売るのではなく、旅行に行く理由をつくることが求められていると考えています。コンテンツやIPと連動した旅行など、新しい需要の創出にも取り組んでいきます。
澤田 大きく三つあります。まず顧客体験の向上で、UIやUXを改善し、パーソナライズされた提案を実現します。次に売上・収益の拡大で、クロスセルやリピート促進を強化します。そして三つ目が業務効率化で、これまで人手に依存していた業務を自動化し、生産性を高めます。旅行業界は労働集約型の構造が強いですが、この変革によって少人数でも高い収益を上げられるモデルに転換していきます。AIはすべての事業に横断的に関わるものになると考えており、今後の事業の土台として位置づけていきます。
また、AI投資については現在は実装フェーズに入っており、具体的なユースケースの展開を進めています。昨年11月にはAIイノベーション本部を新設するなど体制整備も進めており、効果については比較的早い段階から表れてくる可能性があると見ています。2030年に向けては、事業によって大きなインパクトにつながると考えています。
澤田 AIが定型業務を担うことで、人はより付加価値の高い領域に集中できるようになります。具体的には、企画力や提案力、ホスピタリティといった部分です。旅行は最終的に人の感性や判断が重要な産業ですので、人の価値がなくなることはありません。むしろ人の価値は今後さらに上がっていくと考えています。人の最大価値をしっかり定義し、その価値を発揮できれば、報酬も含めて評価されていく形になると思います。
澤田 OTAや直販が拡大する中でも、旅行会社ならではの価値は引き続き重要だと考えています。それが、テーマ性やストーリー性のある商品開発、そして現地コンテンツの造成です。今後は単なる販売ではなく、コンテンツそのものを保有・開発することが重要になります。
当社としては、ホテルや交通、体験施設などを含めた「旅の素材」を自ら作り、流通させるモデルを強化していきます。リアルの強みを活かしながら、AIやテクノロジーを取り入れることで、より付加価値の高いサービスにつなげていきたいと考えています。

