8月訪日客数343万人で8月最多、中国市場が回復加速―村田観光庁長官会見

  • 2025年9月18日
村田茂樹観光庁長官

 観光庁のは9月17日の定例会見で、8月の訪日外国人数が前年同月比17%増の約343万人と8月として過去最高を記録したことを報告。ツーリズムEXPOジャパン2025への期待感や、アウトバウンド振興に向けた取り組みにも言及した。

 訪日市場の地域別では、前年同月比でアジア諸国は16%、欧米豪・中東は18%の増加を記録。訪日市場全体としては、昨年2月から19カ月連続で同月の過去最高を更新している状況だ。

2025年訪日外国人数・出国日本人数(前年比)
訪日外国人数出国日本人数
2024年2025年前年比2024年2025年前年比
1月2,688,4783,781,629140.7%838,581912,298108.8%
2月2,788,2243,258,491116.9%978,8841,181,062120.7%
3月3,081,7813,497,755113.5%1,219,7891,423,449116.7%
4月3,043,0033,909,128128.5%888,767961,386108.2%
5月3,040,2943,693,587121.5%941,7091,076,756114.3%
6月3,140,6423,377,985107.6%930,2291,054,045113.3%
7月3,292,6023,437,000104.4%1,048,8231,205,454114.9%
8月2,933,3813,428,000116.9%1,437,1261,648,300114.7%
9月2,872,4871,212,545
10月3,312,1931,148,502
11月3,187,1751,175,117
12月3,489,8001,187,207
1~8月24,008,40528,383,600118.2%8,283,9089,462,800114.2%
1~12月36,870,14813,007,282

出典:日本政府観光局(JNTO)

 中国市場に関しては、「1月から8月まで累計が前年同期比46%増の671万人で、全市場の中で最も多くなっている」とし、特徴として20代から40代の若年層や家族層の旅行需要が高く、且つ自己手配旅行が多いと言及。訪日の目的では、日本食や自然景勝地、ショッピングなどが人気だという。その上で、「リピーターや高所得者層の訪日、そして地方誘客を推進すべく、戦略的な訪日プロモーションを積極的に進めていきたい」と述べた。

 一方、7月の地震に関する風評が香港市場へ影響を与えた件については、「6月、7月は前年比30%以上の減少となったが、8月は8%減まで改善した」とした上で、「噂に過ぎなかったと理解され、再訪を検討する動きが出てきているのでは。ただ、海外旅行は宿泊や航空の調整が必要で、すぐに行動に移せるものではない」とし、今後の動向を引き続き注視する姿勢を示した。

 続けて、インバウンドの観光マナーを巡る課題として、大阪観光局が行った調査で8割超の宿泊事業者が「スーツケースの放置が問題になっている」と回答した件についても言及し、「保管にはスペースや廃棄費用がかかるため、利用規約に基づいて放置しないよう求めている施設もある。観光庁としては、地域におけるマナー啓発に必要な予算の獲得に努めたい」と対応方針を示した。

ツーリズムEXPO2025開催へ、国際交流と地方誘客に期待

 今月25日から開催される「ツーリズムEXPOジャパン2025 愛知・中部北陸」については、「旅は常に新たな出会いの連続であり、その体験から様々なことが学べるとの観点で国内外から多くの出展を見込んでいる。より一層のインバウンド・アウトバウンドの交流拡大や地方誘客のきっかけとなることを期待している」とコメント。

 アウトバウンドはまだ回復途上となる中で、観光庁では引き続き今年3月に発出された「もっと!海外へ」宣言に基づき、取り組みを進める。村田長官は「若者の国際交流促進に向けた海外旅行プログラムの開発や、外務省では2025年旅券の周知、日本旅行業協会では各旅行会社や空港によるキャンペーンの取りまとめを行っている」と説明。7月に新設された旅行振興参事官については、「現行の出国日本人数2000万人という数値目標の達成に向けて、施策をしっかり進めていく」と述べた。