TIFS会員インタビューVol.20 決断と出会いが導く、日本文化発信の挑戦ーBASE KYOTO川口菜見子氏

  • 2025年9月29日
  • 出典:一般社団法人新観光創造連合会(TIFS)

 TIFS会員の取り組みをご紹介するシリーズ第20弾は、大手旅行会社で法人営業やMICEを15年にわたり経験した後、独立を決意した川口菜見子氏。京都を拠点に設立した「BASE KYOTO」では、茶道や坐禅、金継ぎなど本格的な文化体験や人材育成スクール、町家民泊を通じて、日本文化を世界に発信する活動を展開している。地域住民と外国人観光客が自然に交流できる場づくりを目指す川口氏に、独立の動機や現在の事業、今後の展望について話を伺った。

basekyoto
-まずご自身の経歴やこれまでのキャリアについて簡単にご紹介ください。

川口 菜見子 氏(以下敬称略) 金沢の出身です。親の仕事の関係で神奈川やシンガポールにいたこともありました。大阪の大学を卒業後、阪急交通社へ入社し約15年間法人営業部で法人営業に携わりました。商材は企業の業務渡航に関わる航空券、現地手配、査証代行、危機管理システムの営業など、顧客のトラベルマネジメントを行っておりました。その後、団体営業へ異動し、法人の団体旅行やMICEに携わり、退職。退職後は日本文化体験サービス(茶道・坐禅・金継ぎ・和菓子など)をグローバル企業に営業、受注後は運営する仕事を業務委託で請け負っていました。

-独立を決意された際、特に背中を押した出来事や思いは何でしたか。

川口 業務委託の契約満了のタイミングで1年ほど無職を経験し、その間にこれまでの仕事人生を振り返ったり、これからどう生きていきたいかといったことを考える時間ができました。決定打となる出来事はなかったものの、40歳になるまでに働き方を変えたい、もっと自分がやりたいことで生きていきたいと漠然と思っていたので、無職になったことが神様からの「今がタイミングやで」というメッセージのように感じ、自然な流れで独立しました。会社員時代、新入社員として京都支店に配属されたことをきっかけに、その魅力に惹かれ、京都に関わる仕事への思いが強くなっていました。さらに自身の旅行経験から、地域住民と旅行者をつなぐ場をつくりたいと考えるようになり、文化体験を通じて人的交流を生み出すことを志したことも大きな要因となりました。

-現在の事業(BASE KYOTO)について教えてください。

川口 今一番力を入れているのが、京都府文化観光大使で裏千家助教授の田中賀鶴代さんと、日本文化を海外でも広められる知識と知見を持った人材の育成スクール立ち上げ(Wabunka Academy Kyoto)準備です。先生も海外の方に茶道という日本の総合芸術を正しく理解していただきたいという意向があり、観光客の方向けの1日体験の他に、過去に体験したことがあるがもう少し深堀りしたいという方や、京都に住んでいたり長期滞在している方向けの長期プログラムというのも柱にしていくつもりです。また、本格的な日本文化体験の提供もしたいと考えています。茶道に加えて、坐禅や、1日で体験できるよう工夫した金継ぎプログラムも展開構想中です。その他、一棟貸し町家の民泊(体験サービスも提供予定)も年内にオープンすべく開業準備中です。