10月直行便就航で注目のパラオ、海+αの魅力とは?環境保護策にも注目

  • 2025年8月24日
パラオの先進的な取組「パラオ・プレッジ」。入国時にパスポートにスタンプで押される

 パラオ政府観光局は8月20日、都内で「パラオセミナー&ワークショップin東京」を開催した。パラオは10月29日から、ユナイテッド航空(UA)が成田/コロール線を週2便で開設、5月9日から航空券の販売を開始している。セミナーの冒頭に登壇したUA日本地区営業統括本部長の佐久光俊氏は直行便について「順調な滑り出しで予約をたくさんいただいている」と謝意を表明した。特にビジネスクラスが好調だという。

UAの齋藤氏

 同路線はデルタ航空(DL)が2018年5月から運休しており、チャーター便を除けば唯一の直行便となる。プレゼンテーションではUAレジャーセールスの齋藤望氏が「ミクロネシア線を長きにわたって運航してきたUAにとっても非常にワクワクするニュース」とコメント。直行便に加え、週6便で運航中のグアム/パラオ便と組み合わせれば「日本からほぼ毎日パラオへ行ける」と、利便性がさらに高まる点を強調した。

 同氏は、パラオはダイビングから修学旅行や社員旅行、インセンティブツアー、慰霊・戦跡関連、環境視察などのマーケットがあることを説明。アクセス利便性の向上により客層の多様化が期待できるとした。さらに、パラオは日系ホテルやオペレーター、日本食レストランなどの観光インフラが整っており、「手つかずの自然と観光地としての不自由がない安心感がある、絶妙のバランスがパラオの魅力」とアピールした。

豊かな自然と独自の文化、地域密着型のエコツーリズムや教育旅行も

パラオ政府観光局のクロイ・ヤノ氏

 セミナーではパラオ政府観光局マーケティング&プランニングマネージャーのクロイ・ヤノ氏がプレゼンテーションを実施した。同氏はパラオは日本との時差がなく、平均気温が年間27℃と一定で過ごしやすいこと、日本人の30日以内の滞在ならビザが不要で、日本の運転免許証で右ハンドル車で運転できること、公用語のパラオ語以外にも英語が広く通じることをアピール。第一次大戦後から31年日本が統治していたことから親日家が多く、日本の文化の影響が今も残っていることにも言及した。

 また、ヤノ氏はパラオが海をはじめ豊かな自然が残る「楽園」である点を強調。入国者には環境保護に関する誓約書「パラオ・プレッジ」への署名を義務付けていること、2009年には世界初の国立サメ保護区を設け、2020年からサンゴ礁の保護のため有害物質を含む日焼け止めを世界で初めて禁止したことなど、環境保護に対する取り組みを積極的に行っていることを紹介した。

 プレゼンテーションでは観光の中心地のコロールに加え、パラオ最大の島・バベルダオブ島のガルドック湖自然保護区やユネスコ世界遺産(複合遺産)に認定されたロックアイランドなど、パラオの美しい自然や豊かな生態系を観察できる場所をアピール。漫画『ペリリュー楽園のゲルニカ』でも知られる、第二次大戦下での日本軍とアメリカ軍の激戦の地、ペリリュー島も紹介した。そのうえで「皆さんを手つかずの楽園に迎えたい。美しい自然と清らかな海に育まれ、文化によって守り継がれてきたこの地をぜひご体験ください」と訴えた。

 加えて、セミナーではパラオで笹川平和財団が開発した「地域密着型エコツーリズム笹川モデル」を紹介。地域住民が自らの文化や自然、歴史、神話等の資源を再発見し、語り部として訪問者に体験を提供するというモデルで、パラオの8州が参加している。

 今回はアイライ州とマルキョク州から担当者が来日し、それぞれが長さの異なる3つのプログラムを説明。パラオの文化を理解するには欠かせない存在である、集会所の役割を担う歴史的建造物「バイ」の訪問や、地元の料理体験、伝統的なスカートや茅葺屋根の制作、養殖場でのペイフォワード体験やタロイモ畑での農作業、ストーンモノリスの見学など、地域それぞれの独自性を活かした体験を紹介した。

京都産業大学国際関係学部教授の三田氏

 さらに教育旅行の観点から、京都産業大学国際関係学部教授の三田貴氏が高校生のケースを主にパラオの魅力を紹介。同氏は「パラオの環境や社会と観光とのかかわりは学びが多い」とパラオでの教育旅行をアピール。日本との歴史的なかかわりや最先端の環境政策、資源循環、伝統的な母系社会ならではのジェンダーバランスなど、さまざまな観点で学びが選べることを挙げた。

 そのうえで、教師側が重視する「ロジスティックス上の優位性」として、パラオは時差がないことから心理的・精神的負担が少なく、国がコンパクトなので生徒を引率しやすいこと、治安の良さなども紹介した。

 なお、成田/パラオ線の運航スケジュールは以下の通り。

▽UA 成田/パラオ線運航スケジュール(10月29日~)
UA143便 NRT 17時55分発/ROR 22時50分着(水・土)
UA142便 ROR 11時25分発/NRT 16時00分着(木・日)
運航機材:B737-800型機・166席(ビジネス16席、エコノミープラス42席、エコノミー108席)