風の旅行社が国交大臣賞、ツアーグランプリ2025表彰式開催 JTBGMTは"インド市場"向けツアーで特別賞
ツアーグランプリ2025の表彰式が2日都内で開催され、国内・海外・訪日旅行各部門の優秀な企画旅行が表彰された。今年は147作品の応募があり、持続可能性、地域資源活用、そして旅行者の体験価値を重視した提案が多く見受けられた。審査委員長を務めた国連世界観光機関駐日事務所前代表の本保芳明氏は「今年の受賞作品に共通していたのは、深さ・広がり・繋がり。地域の文化や人と深く関わること、この積み重ねが観光が社会にもたらす価値を高めていく」とし、集まった旅行会社らに今後さらなる挑戦と創造を期待した。
今年の最高賞である国土交通大臣賞には、風の旅行社の「未経験者から上級者までみんなで草原集合!! ほしのいえセレクト乗馬6日間」が選ばれた。少人数制と経験別グループ分けにより、集客層の拡大や参加者一人ひとりの満足度を高めた点が高く評価された。同社企画販売部の山田基広氏は、「同じツアーの中で乗馬経験によってレベル分けできたことが今回のツアーの肝」と話しており、これにより例えば家族内で乗馬経験に差がある場合でも一緒に参加することができたという。
観光庁長官賞は、国内部門でクラブツーリズムの「『船岡温泉』貸切見学!タイルマニアと行く 華麗なるタイルの世界in京都・神戸2日間」、海外部門でワールド航空サービスの「ヒマラヤの禁断の王国・ムスタンへの旅」、訪日部門では農協観光の「日出ずる国、日本の農業と文化に触れる旅」がそれぞれ受賞した。いずれのツアーも、その地域独自の文化資源や交流体験を軸に構成されており、旅行商品の質の向上と観光による地域活性化の好例とされた。
実行委員会審査委員長の小谷野悦光氏は、表彰式の挨拶で「今年は地域資源の持続的活用やデジタル技術の導入、多様性と包摂性を重視する傾向が顕著だった」と述べ、業界の創造性と将来性を評価した。また、「旅行者のわくわく感を創出するだけでなく、地域社会や環境への配慮も含めた提案が多く、今後の観光の方向性を示している」と語った。
また、観光庁旅行振興参事官の根来恭子氏は、旅行業界に対する期待として「地域資源を生かした魅力あるもの、地方誘客・滞在促進へつながる商品造成を是非ともお願いしたい」と強調した。
急激な伸び見せたインド市場に照準、JTBGMTが審査員特別賞
訪日旅行部門審査員特別賞には、JTBグローバルマーケティング&トラベルの「サンライズツアー 富士箱根日帰りツアー」「京都1日ツアー」「京都&奈良1日ツアー」(インドターリーランチ付き)が選ばれた。今後の成長が期待されるインド市場に対し、食文化への対応を徹底的に掘り下げた点が評価された。
同社レジャー事業本部エクスペリエンスサプライ部の鈴木貴仁部長は、今回のツアー造成のきっかけとして、「コロナ禍後のサンライズツアーの国籍別比率で、インド市場がコロナ前の1%から10%程度まで伸びていた」と話した。続けて、現地調査からわかったインド市場のインサイトとして、「訪日旅行の際にも寿司やラーメンではなく、インド人が作ったインドカレーを安心して食べたいとのニーズが強い」と明かしており、インドターリーランチを旅程に含めることでうまく市場にマッチしたかたち。同社は現在札幌でも同ツアーの展開を進めている。
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