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雇調金の不正受給、倒産率29倍に急増 旅行業の倒産も多く

  • 2025年4月8日

 コロナ禍での雇用維持を目的とした雇用調整助成金の不正受給が相次ぎ、これに関与した企業の倒産率が全企業平均の約29倍に達していることが明らかになった。

 東京商工リサーチの調査によれば、2025年2月末までに全国で1620件の雇調金等の不正受給が公表され、そのうち92社が倒産している。これは不正受給企業の5.6%に相当し、2024年の全企業倒産発生率0.19%と比較すると約29.4倍の高水準となっている。

 倒産した92社のうち、負債1億円未満の小規模事業者が48件と半数以上を占め、産業別ではサービス業他が44件(47.8%)で最多となっている。特に飲食業や旅行業など、コロナ禍で大きな打撃を受けた業種での倒産が目立つ。

 不正受給が発覚した企業は、助成金の返還義務や延滞金の支払いに加え、取引先や金融機関からの信用失墜により資金繰りが悪化し、倒産に至るケースが多い。例えば、今年2月に事業を停止し、3月21日に破産開始決定を受けた結婚式場運営のアルカディアは、負債総額53億7000万円で、雇調金等10億1800万円を不正受給していたことが判明している。同社の突然の事業停止により、100組以上のカップルが結婚式を挙げられない事態となり混乱を招いた。

 雇用調整助成金は、事業主と従業員が負担する雇用保険料で、事業主負担分を積み立てた「雇用安定資金」を主な財源としており、不正受給は公正性を損なう行為。コロナ禍から5年が経過した現在も、不正受給の調査は継続されており、関与した企業は社名公表による信用失墜という代償を避けられない状況となっている。