ベルトラのクルーズ市場本格参入、アジア市場狙う今後の展望

  • 2025年3月25日

 ベルトラは3月14日、新たなクルーズ専門予約サービス「VELTRAクルーズ」を開始した。これに伴い、25日には発表会を開催し、サービスの概要や今後の展開について説明した。

 「VELTRAクルーズ」は、クルーズ会社と直接契約し、オンラインで簡単に予約が完結するプラットフォーム。現在、MSCクルーズとの提携を皮切りに、約5000コースを提供しており、今後順次取り扱いクルーズ会社を拡大する方針だ。対応言語は日本語、英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語の5カ国語、決済は23通貨に対応する。問い合わせはWebチャットを利用し、電話対応は行わない。

 ベルトラは従来、現地体験ツアーを主力事業としてきたが、今回のクルーズ市場参入について「心ゆさぶる体験を未来に届ける」という企業ミッションと合致すると説明。クルーズ旅行が持つエンターテインメント性や寄港地観光との親和性の高さを強調した。また、人口あたりのクルーズ利用率が米国4.99%、豪州2.91%である一方で、日本0.24%、中国0.13%と特にアジアは成長市場であると言及。同社は業界各社と連携しながら、OTAならではの新たな市場開拓を目指す。

 ターゲット層は30~40代のミレニアル世代を中心としたFIT(個人旅行者)で、特にクルーズ未経験者の取り込みを狙う。日本市場ではクルーズ利用者の平均年齢が高く、長期旅行のイメージが根強いが、海外では短期間かつカジュアルに楽しむ層も多い。「実際に、クルーズ商品の90%以上はプレミアムやカジュアルといったラグジュアリー以外のもの」で、こうした認識の違いを変えるべく、「新たな海外旅行の選択肢」としてのクルーズを提案していくという。

 サービス開始当初はアジア地域を重点市場とし、今後はクルーズと航空券のセット販売や、個人旅行者向けの寄港地ツアー、AIを活用したパーソナライズ機能の強化などを計画。クルーズ業界の成長が期待されるアジア市場において、新たな選択肢としての地位確立を目指す。