エイチ・アイ・エス（HIS）は21日、外部専門家で構成された特別調査委員会から、同社グループの雇用調整助成金受給に関する調査報告書を受領した。

　調査によれば、HISおよびグループ各社は、コロナ感染拡大の影響を受けた2020年から2023年の間に雇用調整助成金を申請・受給していたが、一部において勤務実態と異なる申請が行われていたことが判明した。ナンバーワントラベル渋谷およびクルーズプラネットにおいては、経営層の指示による組織的な不正受給が認定された。加えて、欧州エキスプレスは、経営層の指示はなかったものの不正受給が認められた。また、HIS本体や他の子会社14社では、故意ではないものの申請要件に適合しない不適正受給が確認された。

　HISはこの調査結果を受け、速やかに返還すべき額の算定を行い、過年度の会計処理を見直す方針を示した。これに伴い、2025年3月31日には過年度の有価証券報告書や決算短信の訂正報告を行う。また、再発防止策として、ガバナンスの強化や内部監査体制の見直しを含む具体的な対策を策定し、実行することを表明した。関係者への処分についても3月末を目処に発表する予定だ。