JTBが提案する朝の旅、訪日観光のオーバーツーリズム対策へ「相撲部屋朝稽古見学ツアー」など人気博す

  • 2025年3月12日
朝稽古見学ツアーの様子

 旺盛な訪日需要を背景としたオーバーツーリズムが問題となる中で、JTBグループでは午前中のツアーやプラン造成による時間分散に取り組んでいる。これまでも、主に夜間ならではの消費活動や魅力といった「ナイトタイムエコノミー」の創出に取り組んできた。

 例として、アサヒビールとの共創プロジェクトでは、浅草で夜桜を楽しむ人力車お花見プランや、石川県和倉温泉の加賀屋を交えた取り組みでは、加賀屋専属の歌劇団によるナイトタイムショーを展開。直近では、「JOYSOUND」を展開するエクシングや、アソビシステムとの提携を相次いで発表しており、今後ナイトタイムコンテンツの創出が進められる。

 一方で、JTBグループで訪日旅行を専門に扱うJTBグローバルマーケティング&トラベルが企画販売を行うパッケージ旅行「サンライズツアー(SUNRISE TOURS)」では、7時5分に集合し11時に終了する京都嵐山での夏ウォーキングツアーや、9時5分集合13時終了の京都サイクリングツアーなど、午前中のツアーを展開している。

 昨年10月からは相撲部屋「立浪部屋」の朝稽古見学ツアーを開始。以前より大相撲観戦ツアーが人気を博しており、年間を通じて相撲の魅力を伝える旅行商品として考案した。同ツアーも10時20分には終了する行程となっているが、企画担当者は「海外の販売店からも午前中のツアーの要望は多い。日中のツアーは訪日マーケット全体でバリエーションが豊富にある中で、朝のコンテンツは不足している」と話した。

 同ツアーに関しては、大相撲を題材した映像作品や、立浪部屋の豊昇龍関の横綱昇進なども影響し、文化観光に関心の高い欧米豪を中心に既に夏や秋の予約も入っているとのこと。

 朝のコンテンツ造成では、日中に比べて交通やガイドの確保が難しいという課題があるが、サンライズツアーでは今後も朝夜ともに新たなコンテンツを企画する方針で、特に「京都は日中のオーバーツーリズムの問題もあるので、朝のツアーのバリエーションを増やしたい」と話しており、時間分散への取り組みを強化する考えだ。