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2025年度の賃上げ実施企業は85.2%で過去最高を更新へ、価格転嫁カギに

  • 2025年2月26日

 東京商工リサーチ(TSR)は20日、「賃上げ」に関する企業アンケート調査の結果を発表した。2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%となり、2016年度から実施している同調査において過去最高を更新する見込みとなった。ただし、全体で「5%以上」の賃上げを予定する企業は36.4%にとどまり、中小企業で「6%以上」の賃上げを予定する企業は9.1%と低水準であることが分かった。

 日本労働組合総連合会(連合)が2025年春闘で掲げる「全体5%以上」「中小企業6%以上」の賃上げ率の達成は、中小企業にとって特に厳しい状況であることが浮き彫りとなった。賃上げを「実施する」企業のうち、毎年持続できる見通しが立っていない企業は34.6%を占め、特に医療業(19.0%)などでは持続的な賃上げの課題が顕著に現れている。

 賃上げを「実施しない」企業の最大の理由は「原材料価格などの高騰」で49.5%を占め、続いて「価格転嫁ができていない」が36.4%だった。価格転嫁ができていない企業は「実施する」企業(17.3%)と比べて19.1ポイント高く、価格転嫁の成否が賃上げ実施率に大きく影響していることが分かった。

 2024年の実質賃金(速報値)は前年比▲0.2%となり、物価上昇に賃上げが追いつくまであと一歩の状況だ。しかし、賃上げを支えるための価格転嫁が進まない中小・零細企業では、原資確保に苦慮する企業が多く、持続的な賃上げの実現には行政の適切な指導・管理や取引先の理解が不可欠である。

 産業別では、賃上げを「実施する」企業の割合が最も高かったのは製造業(90.8%)で、続いて運輸業(90.0%)、卸売業(87.8%)、建設業(86.0%)、サービス業他(82.4%)と続いた。一方、最も低かったのは不動産業(60.9%)で、金融・保険業(73.5%)、情報通信業(75.8%)も低水準にとどまった。