個人旅行をもっと自由に-テクノロジーで進化するOoohの旅づくり
近年、日本人の海外旅行のスタイルが大きく変化している。定型的なツアーから脱却し、より個別化された体験を求める傾向が強まるなか、現地旅行会社との直接チャットを通じて手配が可能なオンラインプラットフォーム「Oooh(ウー)」を運営するOooh株式会社が注目を集めている。今回、同社代表の山下晋太郎氏に、サービスの進化や今後の展望について話を伺った。
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山下 晋太郎(以下敬称略) 現在、海外旅行のオンラインプラットフォームOoohを運営しています。Ooohは、日本人の海外旅行者と現地の旅行会社をチャットでつなぎ、相談や手配ができるサービスです。現在、100か国以上の現地旅行会社と提携しています。個人旅行でも現地のプロフェッショナルと相談しながら手配を進められるため、自由度が高く、安心感のある旅行を実現できます。
経歴としては、1999年に新卒で三菱商事に入社し8年間勤めた後、リクルートで約2年、楽天で8年勤務しました。楽天での経験を経て、当時の仲間と現在の会社を設立しました。
山下 2019年にサービスをリリースしましたが、開始から2カ月ほどで新型コロナウイルスの影響により事業を休止せざるを得ませんでした。その後、2023年6月にオペレーションを再開し、現在では100か国以上の現地旅行会社と提携するまでに成長しています。2019年と比較すると、提携国と旅行会社の数は30倍以上に増えました。2023年の再開以降、2024年の訪問者数と成約数も4~5倍伸びています。
提携している旅行会社は、当初は日本語を話せる現地旅行会社やオペレーターが中心でしたが、現在ではその割合は半分ほどになりました。AI翻訳機能を導入したことで、日本語話者がいなくてもチャット対応が可能になり、言語の壁がほぼ解消されました。現在は英語と日本語を中心に運用していますが、技術的には世界中の言語に対応する準備が整っています。
山下 現在、コアメンバーは7人、外部メンバーを含めると12〜13名の体制で運営しています。働き方としては、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドなスタイルを採用しています。試行錯誤しながら新しいことを進める際は出社して対面で議論することもあります。オンラインの利便性を活用しながら、柔軟な働き方を実現しています。
山下 利用者は女性の方がやや多く、20代から40代を中心に幅広い層に支持されています。共通しているのは、旅行慣れしている方が多い点です。単なる観光ではなく、行きたい場所が明確で、自身で情報収集もしています。ただし、細かい手配をすべて自力で行うのは難しいため、当社のサービスを活用する方が増えています。
旅行スタイルとしては『王道プラスα』が主流です。例えばインドなら、デリー、タージマハル、ガンジス川といった定番スポットに加え、ジャイサルメールにある砂漠でのグランピングや星空鑑賞が人気です。エジプトでは、ピラミッド観光に加え、白砂漠でのキャンプを楽しむ方が増えています。特に、一般的なパッケージツアーが少ないアフリカや南米、インドといった地域では、カスタマイズが必要な旅行が求められています。
当社の旅行手配は飛行機やホテルを除いた現地での移動やアクティビティ手配が中心で、費用も数十万円規模のものが多いです。それでも、利用者の多くは『良い旅行をしたい』という思いを持っており、費用を惜しまず、満足度の高い体験を求めています。