「Founder’s Eye」別府観光の可能性と課題①

  • 2025年2月12日

 大分市への移住事業の可能性を探るための大分出張があり、別府に先乗りして立命館アジア太平洋大学(APU)の畠田名誉教授と石田別府市議それぞれに別府観光産業及び観光行政に関して話を聞いてきました。
※因みに石田市議はAPU在学中に畠田先生の授業も受けていましたので、ある意味教え子に当たります。

 畠田先生は20年前から別府の旅館の一泊二食形態は減る、長期滞在こそ観光産業と地元双方の利益にかなうと唱えられ、大学での座学に留まらず、産官学が参加したNPO法人「ロングスティ別府」の座長、学生と地元住人が主導した別府市内成(うちなり)での「ホリデーハウス」(ロングスティ向け宿泊施設)の運営などをされてきました。

 その先生から見た別府の今の観光行政は予見に基づいて、目指すべき明確な方向が示されていないと映っており、慣習や前例にとらわれることなく、新たな価値を創造できる若いリーダーが必要だと常々仰っており、その期待に応えることが出来る可能性がある政治家として石田市議を紹介していただきました。

 石田市議とは30分程度の予定で別府市内の喫茶店でお会いしたのですが、結局、2時間超色々な話をさせて頂きました。

 石田市議は大学(APU)卒業後、飲食事業を起こされ、順調に成長を続けていたまさにその時にパンデミックが発生、行政に事業者の窮状を訴え、様々提言を行ったものの、そもそも現場感覚の欠如もあり理解を得られず、現場の声を市政に届けるためには自分がその中に入らなければ変えられないと思い、出馬(出馬を決めたのは選挙戦開始の一月前…)しました。

 石田市議が強く訴えるのは、沢山の人が訪れさえすれば地元が潤うわけでは無く、むしろ不都合が生じることの方が多く、地元でしっかりと消費してくれ、地元に経済的恩恵をもたらす旅行者層への施策に重点を置くべきだと言う事と、直接的な税収効果が薄い県外・海外企業だけでは無く、地元に本社を置き、しっかりと納税する事業者の誘致への実行。

 また、別府はAPUはじめ大学も留学生も多いため、それら卒業生の内、独立志向が高い人が別府での起業に挑戦するための支援策の制定、定住支援の必要性を訴えています。

 実際に外国人、日本人を問わず少人数で他では体験できない富裕層向けの新たなコンテンツを大学生も巻き込みながら企画する、宿泊施設で働く方のサービス・技量コンテスト等着々と構想を練っているようです。

 どこの自治体でも課題やその解決方法に大きな違いは無いかと思いますが、鍵はリーダーシップを発揮し、ある意味有形無形のリスクも取って行動を起こせる人、それを支援する人が居るかどうかも一つの視点になると思いました。

 見場と聞こえの良いプレゼン資料を作るだけの都会のコンサル依存から抜け出し、貴重な税金はその土地に住み、地域の将来を我がこととして考え、動ける人に託すべきなのでは無いかと筆者は考えます。

 ※以前、発行人コラムとして書かせて頂いていましたが、トラベルビジョンの経営には直接関わらず、今は創業者として側面支援をしていますので、コラム名を「Founder’s Eye」とし、忖度無く書かせて頂きます。不定期での寄稿となりますが、是非お読みいただき、賛否含めコメントをお願いできればと思います。

岡田直樹
㈱エフネスを1990年に創業、2023年に一部の事業を上場会社へ譲渡、現在は同社の創業者・オーナーとして後方支援の傍ら企業・団体の役員、顧問を務める。
㈱アイユーアール・コーポレーション代表取締役/インターナショナルホスピタリティコネクションズ㈱取締役会長/一般社団法人 新観光創造連合会 (TIFS)代表理事・会長
その他複数の企業・団体に顧問として関与​