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賃上げの波に揺れる中小企業、人件費高騰で倒産急増

  • 2025年2月6日

 東京商工リサーチ(TSR)は3日、2024年に「人手不足」を要因とした企業倒産が289件に達し、2013年以降で最多となったと発表した。特に求人難や人件費高騰による倒産が大幅に増加しており、中小企業を中心に厳しい経営環境が続いている。倒産の内訳を見ると、「求人難」が114件、「人件費高騰」が104件、「従業員退職」が71件となり、いずれも過去最多を更新した。

 業種別では、サービス業や建設業、運輸業などの労働集約型産業での増加が顕著で、特に破産が全体の9割以上を占めた。資本金別では1000万円未満の企業が最も多く、小規模企業ほど人手不足の影響を受けやすい状況が浮き彫りになっている。

 背景には、大手企業の賃上げの影響により、中小企業が賃金や福利厚生面で競争できず、従業員の確保や引き留めが困難になっていることがある。結果として、人手不足による受注機会の喪失や業績悪化が進み、倒産に至るケースが増加している。円安・物価高の状況下、中小・零細企業の賃上げには、既存ビジネスモデルからの早期転換とそれを支える支援が急務となっている。