ANA、旅客需要の回復で増収も減益 2025年3月期第3四半期決算
ANAの2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月)の決算は、旅客需要の回復を背景に増収となったものの、人件費や整備費用の増加により減益となった。売上高は1兆7027億円(前年同期比10.3%増)となり、特に国際線・国内線ともに旅客数の増加が寄与した。一方、営業利益は1711億円(同18.5%減)、経常利益は1815億円(同12.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1340億円(同10.0%減)と、前年同期を下回る結果となった。
国際線旅客は、訪日需要の回復や北米・欧州路線の好調を受けて増収となり、10月には成田=パース線の再開、12月には羽田=ミラノ線の新規開設を行うなど、路線の拡充を進めた。国内線では、需要喚起策「ANA SUPER VALUEセール」や運賃改定が奏功し、旅客数・収入ともに前年を上回った。また、年末年始の臨時便設定や特別デザイン機の導入、羽田空港ラウンジのサービス強化など、顧客満足度向上に向けた取り組みも実施した。
貨物事業では、アジア発北米向けの三国間貨物や自動車関連貨物の需要回復が寄与し、国際線貨物の輸送重量・収入ともに前年を上回った。成田空港では10月に新たな貨物施設を稼働し、作業の効率化と品質向上に取り組んでいる。
旅行事業は、ハワイや欧州方面の需要を取り込みつつも、コロナ禍前の水準には戻らず、国内旅行の集客減も影響し減収。商社事業は、訪日旅客の増加に伴い免税店や空港物販店が好調に推移したが、人件費増により利益は減少した。
通期の業績予想は上方修正され、売上高2兆2550億円(前回予想比350億円増)、営業利益1800億円(同100億円増)、経常利益1900億円(同200億円増)、親会社株主に帰属する純利益1400億円(同200億円増)を見込む。今後も堅調な旅客需要の継続が期待されるが、燃料費や為替の変動、地政学リスクなどが業績に影響を与える可能性がある。