旅行産業経営塾 初の大阪開催へ、JATA経営フォーラム今年は「協調共創」と「レジリエンス」テーマに
日本旅行業協会(JATA)は23日に定例記者会見を開催し、副会長の原優二氏が塾長を務める旅行産業経営塾が第14期生の募集を開始したことを発表した。1999年に開始した同経営塾は、将来の旅行産業を担う人材の育成を目的に、有識者らによるマーケティングや市場分析、業界動向などの講義やグループ討論などを通し、「ものの見方・考え方・決め方」を学ぶもの。これまでに約500名の卒塾生を輩出し、OB会も組織されている。
第14期となる今回は、5月17日~2026年3月14日までの期間に計11回の講義と1回の合宿、入塾式、卒塾式を予定する。対象は原則、旅行産業もしくは関連産業の経験5年以上の従事者で、定員は40名、受講料は12万円となる。今回は開塾以来初となる大阪開催で、原氏によると「大阪・関西万博の開催を控える大阪を盛り上げたい」とのOBからの声があったという。
大阪開催に伴い、講義を担当する講師陣も関西に関連する有識者を招聘。例として、入塾式の記念講演は前京都市長の門川大作氏が、通常講義では、電通関西支社プロデューサー和泉豊氏やパナソニックHD参与・関西渉外・万博担当の小川理子氏らが登壇予定で、他にも、関西エアポートCEOの山谷佳之氏も現在交渉中だという。
原氏によると、これまで塾生は中小の経営者や大手管理職を中心に30代~60代と幅広く集まっており、「参加の目的はそれぞれ異なるが、旅行業は意外と横の繋がりが少ない。講義などを通しお互いが本音で語れる場を提供している」と、塾生同士の交流も魅力の一つと強調した。
経営フォーラム、今年は「協調共創」「レジリエンス」テーマに
同日、JATAは例年開催している経営フォーラムの概要を発表した。第33回となる今回のテーマは、「柔軟で強靭な組織作りと協調共創が織りなす旅行業の未来~レジリエントな組織作りを目指して~」。昨年11月には仙台で「観光レジリエンスサミット」が開催されるなど業界で"レジリエンス"が注目される中、危機となる状況からいち早く立ち上がるための組織作りや協調共創について学ぶ内容となっている。
実施日は2月27日。WEB開催で、4月4日まで限定公開する。プログラムはJATA髙橋会長の挨拶に始まり、計8回の講演・セミナー・パネルディスカッションを行う。基調講演では、元吉本興業グループ役員で危機管理などを担当したモダンボーイズ代表取締役の竹中功氏が、「危機管理に強い組織・人が辞めない組織の育て方について」とのテーマで登壇。セミナーでは、生成AIの活用や採用活動の成功事例などを紹介する。
また、国内旅行、訪日旅行、海外旅行に関するパネルディスカッションは、全て「協調共創」を共通テーマに実施する。海外旅行に関しては、高付加価値化への転換やパッケージツアーの低迷など環境が大きく変化する中で、販売を拡大していくために旅行会社はどうアプローチすべきか。商品造成から流通、販売、それぞれの視点から、旅行会社の協調共創を踏まえ議論する。
その他定例会見では、2月18日より募集を開始する第3回「JATA SDGsアワード」の募集要項も発表された。業界でのSDGs活動の促進を目的に、会員各社から寄せられたSDGsへの取り組みを評価・表彰するもので、第2回の同アワードでは、18社50件の応募があったという。
これに対し、JATA総務部長の菅野貴氏は「(応募社数は)正会員全体のわずか1%ほど」と言及し、改めて各社へ応募を呼び掛けた。エントリー期限は4月11日までで、企画商品などに加え、社員へのSDGs教育など社内向けの取り組みも対象となっている。