2025年 海外旅行完全復活への一年、訪日は次のステップへ-年頭所感(3)(協会・団体)

  • 2025年1月10日

 世界的に旅行需要が増加するなか、2024年の日本は訪日旅行が大幅な伸びを示したが、海外旅行は伸び悩んだ一年だった。

 業界では大幅な訪日観光客の増加によるオーバーツーリズムや、依然として人手不足などの問題が続く一方、20年ぶりとなる大阪・関西万博など大型イベントの開催が予定されている。そうしたなか、業界団体や大手旅行会社、航空会社などのトップは2025年をどう見るか。全3回にわたって各分野トップの年頭所感を掲載する。最終回となる今回は国交省・観光庁と各業界団体のトップについて取り上げる。




日本旅行業協会(JATA)会長 髙橋広行氏

昨年は、世界的に旅行需要が拡大しマーケットが大きく動いた年となりました。日本においても、訪日インバウンドは円安が追い風となり10月時点で3000万人を上回るなど過去最も早いペースで伸びを示し、国内旅行もほぼ2019年と同レベルまで回復してきました。しかしながら、海外旅行については円安、旅行代金の高騰等の影響により回復のペースは遅く、未だ2019年比で6割強程度に留まっており、各国から早期回復を期待……続きを読む







全国旅行業協会会長 二階俊博氏

旧年は、我が国の観光立国の実現に向けて大きな一歩を踏み出すことができた年となりました。日本を訪れる外国人観光客数は、コロナ前の2019年の水準を上回るとともに、国内観光も個人旅行を中心に活況を取り戻し始めました。他方で、日本人による海外旅行需要は依然として低迷しており、バランスのとれた国際交流が行えているとはいえない状況が続き、団体旅行もコロナ前の水準までの回復には至っておりません。また、サービス……続きを読む







国土交通大臣 中野洋昌氏

昨年は、元日の能登半島地震、その被災地を襲った9月の豪雨災害をはじめ、各地で大規模な災害が相次ぎました。改めて、こうした災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。私も能登や東北の現場を視察する中で、改めて被害の甚大さを確認し、災害への備えや早期の復旧・復興の必要性を痛感いたしました。こうした教訓を踏まえ、今後も、防災・減災、国土強靱……続きを読む







観光庁長官 秡川直也氏

人口減少が進む我が国にとって観光は成長戦略の柱、地域活性化の切り札です。昨年は、訪日需要の高まりや、円安等の影響に加え、持続可能な観光立国の推進に向けて政府を挙げて取り組んだ結果、訪日外国人旅行者数や消費額の回復が急速に進み、観光は力強い成長軌道に乗っているものと受け止めております。例えば、昨年11月の訪日外国人旅行者数について、コロナ前の2019年と比べた回復率は単月で131%となり、2023年10月以降……続きを読む







日本観光振興協会会長 菰田正信氏

昨年は、訪日外国人旅行者数が過去最高の3,500万人を超え、日本各地の観光地は活況を呈しました。一方で、観光現場を担う人材不足や、人気観光地の特定スポットでは混雑が常態化し、地域住民の日常生活への影響が生じるなど、課題にも直面しています。観光産業が持続可能な形で成長を遂げていくためには、DXの推進により生産性や収益力を高めることで、その分人の手でしか行えないサービスやホスピタリティの向上を行い、多様化……続きを読む







日本政府観光局(JNTO)理事長 蒲生篤実氏

昨年はインバウンド観光が急速に回復し、訪日外客数は過去最速で3,000万人を超え、訪日外国人旅行消費額も過去最高を更新するなど、訪日外客数・消費額ともに非常に好調な年でした。日本政府観光局(JNTO)では、昨年3月に世界で26番目となる海外事務所をストックホルムに開設し、北欧地域からの誘客を強化するとともに、観光立国推進基本計画に定められている3つの柱「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の実現に……続きを読む







日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長 大畑貴彦氏

さて、2024年はようやく旅行需要の回復が見られ、特にインバウンドについては、訪日観光客が日本での消費で、日本経済全体を大いに活性化させました。反面、これに伴いオーバーツーリズムやホテル不足、または宿泊業界における労働力不足が問題となっているのも事実です。また、文化の違いから外国人客のマナー違反が多く発生しました。インバウンドは外交関係や多くの外的要因によって大きく数字が変動する可能性もあり得ます……続きを読む







新観光創造連合会(TIFS)会長 岡田直樹氏

今年は平穏な年明けを迎えることができ、皆さま心穏やかに正月を過ごされたことと思います。昨年を振り返って見ますと、皆さんご存じのように、訪日外国人客数及び国内旅行者数は堅調に推移した一方、海外旅行に関しては2019年比で7割強に留まりました。このトレンドは続くのか?海外旅行の復活はなるのか?訪日はまだまだ増えるのか?業界内では良く話題に上りますが、個人的な見解としては少なくとも日本人の国内外旅行は中長期的……続きを読む







駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)会長 ラウル・ゲーラ氏

国連世界観光機関の2024年9月までのデータによると、国際観光事業は2024年末までに完全に回復する見込みであるとのことです。特に、観光客の消費額は訪問者数よりも伸びており、前年に比べて著しく増加しています。2024年に記録的な数の訪日観光客が訪れたことで、日本人の海外旅行に関する影響力を与えることでしょう。2025年は日本の旅行業界にとって刺激的な機会と課題のある一年になると感じております。大阪万博2025……続きを読む

次ページ>>宿泊、クルーズ、添乗員関連団体