ヨーロッパ観光委員会 25年はオーバーツーリズム対策でキャンペーン、JTBと協業も-都内でワークショップ開催
ヨーロッパ観光委員会(ETC)は12月5日、旅行会社やメディアなどを対象にセミナー&ワークショップを開催した。ワークショップにはETCに加盟する13ヶ国が出展し、旅行会社約100名、航空会社やメディア等約50名が参加した。
メディア向けセミナーでは、ETC日本支部委員長の沼田晃一氏が今年のETCの活動と来年の方針について説明した。同氏によれば、ETC加盟25か国の2024年1月~8月の日本人渡航者数や宿泊数を見ると、セルビアやモンテネグロといった母数がもともと少ない国やトルコを除き、2019年並みまで戻っていないのが現状だ。要因としては円安や直行便減・訪日客増による航空座席の減少などがあげられるという。
日本市場が苦戦するなか、ETCは今年セミナーやネットワーキングイベント等を実施。9月のツーリズムEXPOジャパンではETCとして3年目の出展を果たし、16コマの大規模ブースで商談やスタンプラリーを実施した。さらにETCのCEOであるエドゥアルド・サンタンデール氏が来日してパネルディスカッションに参加。JATAとMOUも締結し、今後プロモーションや人材育成、オーバーツーリズム対策、サステナブルツーリズムなどで協力する。
また、旅行会社との協業も継続する考え。沼田氏は「旅行業界との取り組みは他国では見られないもので、本部からも注目されている。良い流れが作れていると思うので続けていきたい」と意欲を示した。ETCではツーリズムEXPOジャパンのパネルディスカッションを機に、11月15日にJTBとMOUを締結。2025年4月から28年3月までの3年間、渡航機運醸成イベント「ヨーロッパフェス2025」をはじめとしたイベントの共同企画・実施、サステナブル・オーバーツーリズムをテーマとした新商品の開発等に取り組む。
さらに、25年からは全世界的なキャンペーンとして「UNLOCK AN UNEXPECTED UPGRADE」を実施する。オフシーズンの旅行を推奨するもので、繁忙期から時期をずらすとまるで貸切のようなぜいたくな環境に身を置きながらの旅行が楽しめる点をアピールする。沼田氏は日本人の傾向としてハイシーズン以外のヨーロッパを旅するケースがあることを指摘し、「オーバーツーリズム対策としてもいいし、旅の動機づけとしても効果的なキャンペーンになるのでは」と期待を示した。
このほかセミナーではワークショップに出展した13ヶ国がそれぞれプレゼンテーションを実施。各国とも日本人旅行者は動きが遅いながらも回復傾向にあることを説明しており、早ければ2025年には19年並みに戻ると予想する観光局もあった。また、ほとんどの国が2025年の大阪・関西万博に出展し、パビリオンでさまざまなイベントを開催することで誘客をはかる方針であることを説明。万博への期待感を示した。
一方、ワークショップではイベントを後援した日本旅行業協会(JATA)海外旅行推進部部長の稲田正彦氏が挨拶。2024年1月から10月の海外渡航者数が2019年の39.2%にあたる1064万4900人であることに触れ、「この調子だと今年は1300万人行くか行かないか。数も問題だが、一番言いたいのは旅行会社を利用して海外旅行をする人がどんどん減っていること。この辺に問題があるのでは」と指摘した。
そのうえでETCについて「(1国ではなく)ヨーロッパというかたまりでこういう機会を設けていただくのは他の国ではできない」と話し、「旅行会社と各国のこうしたコネクションは他の国ではないと聞いている。今後のヨーロッパの販売の発展・拡大につなげていければ」と期待を示した。
訂正前:トルコにセルビア・モンテネグロといった母数がもともと少ない国を除き、
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訂正後:セルビアやモンテネグロといった母数がもともと少ない国やトルコを除き、
お詫びして訂正いたします。