日本観光振興協会、「観光の実態と志向~第43回国民の観光に関する動向調査~」発刊 パスポート保有状況調査も
日本観光振興協会は「令和6年度版 観光の実態と志向~第43回国民の観光に関する動向調査~」を発刊した。
1964年から半世紀以上にわたり継続されているこの調査は、全国の15歳以上を対象に宿泊観光旅行の動向や志向についてアンケートを実施し、観光需要の傾向を時系列で分析している。令和6年度版では特集として、国内観光旅行・海外旅行に対する意向をテーマに、パスポート保有状況や旅行希望率についても取り上げた。
調査によると、今後1年間における国内観光旅行の意向では、「したい」と答えた割合が58・1%と過半数を占め、「したいけど、できない」が22.1%、「したくない」が19・8%だった。
海外旅行は「したくない」との回答が50・7%と過半数に達し、「したい」が21・5%、「したいけど、できない」が27・8%にとどまった。
性別・年代別で見ると、国内観光旅行への意向は男性70歳以上で「したい」との回答割合が高かった一方、男性30代と40代では低く、「したくない」との回答が目立った。
海外旅行に関しては、男性15-19歳や女性20代以下で「したい」との回答割合が高くなる傾向が見られ、男女ともに年齢が上がるにつれて「したくない」との回答が増加した。
パスポート保有状況では、「持っている」が24・4%、「持っていない」が75・6%で、性別による差はなかったが、男女ともに20代と30代で保有率が相対的に高かった。政府の統計によると2023年度の日本人のパスポート保有率は約17%で、直近の5年間で約8%減少している。
パスポート保有者の海外旅行希望率は51・5%で、国内観光旅行希望率の79・0%とともに高い水準を示した。一方、非保有者の海外旅行希望率は11・9%と低く、国内観光旅行希望率も51・4%にとどまった。
世帯年収や有給休暇取得日数においても、これらが増加するほど国内外の旅行希望率が高まる傾向が見られた。国内観光旅行では世帯年収600万円以上、有給休暇取得11日以上で希望率が顕著に高くなり、海外旅行では世帯年収1000万円以上で高くなっている。
一方、世代別では国内観光旅行の希望率が1941-1959年生まれの世代で高い一方で、海外旅行を「したくない」とする意向も目立つ結果となった。
平成以降の国内観光旅行と海外旅行の希望率の推移では、国内観光旅行は平成23年度(2011年度)をピークに減少傾向が続いており、令和3年度(2021年度)・4年度(2022年度)にコロナ禍からの回復が見られたものの、今回の調査では再び減少に転じた。
一方、海外旅行の希望率は平成12年度(2000年度)以前には過半数を超えていたものの、今回調査では大きく下回る結果となり、観光需要の多様化や経済状況の影響が反映されていると見られる。
情報提供:トラベルニュース社