日本市場いつ戻る?各市場の動向は?ハワイ・ポートランドなど米国4サプライヤー登壇、日米観光交流年シンポジウムで

コロナ禍以降の旅行者動向、HTA「安全性への懸念強まった」

 続いて、日本を除いたコロナ以降の各国際市場の動きについて。HTA以外が揃って「回復が早かった」としたのが、比較的近隣の国々からの旅行者だ。

それぞれ、ディズニーはカナダや中南米地域から、ポーランドはカナダ及び直行便のあった国から、マイアミはコロンビアを筆頭に中南米地域からの回復が早かったという。

 一方、ハワイでは韓国市場の回復が早かった。同国の海外渡航の早期再開が影響していると見られ、レジャー・ビジネス双方で動きが見られたようだ。

ダニエル・ナーホオピイ氏

 また、コロナ以降の旅行者動向の変化について、日本人旅行者では以前に比べ差別など、安全性への懸念が強まったと明かしたHTAナーホオピイ氏。特にレジャー客でその傾向が強いようで、「ビジネストラベルの方に実際の安全性や現地情報について、ご友人などに広めていただきたい」と期待した。

 ポートランド観光協会のアンダーソン氏は、ナーホオピイ氏の意見に同意した上で、予約時期の傾向として航空券の予約は早期に行うものの、宿泊施設の予約は直前まで行わない旅行者が増えたという。また、日本市場に限れば、レジャーは落ち込んでいるものの、教育やテクニカルツアーは伸びていると明かした。

 グレーター・マイアミ観光局のドカル氏は、日本市場の動向の変化はキャッチしていないとしたが、欧州市場の傾向として、マイアミ自体が米国内では物価が高いことから、滞在期間は短期化し購買力の低下が見られており、現在課題の一つになっているという。

日本市場は「2019年レベルにいつ戻る?」

 本シンポジウム締めくくりの質問となったのが「日本市場は2019年レベルにいつ戻るか」と、「日本市場への期待感」について。

 具体的なタイミングを言及したのはハワイとポートランド。HTAナーホオピイ氏は2027年と予想。MICEやFITは回復傾向を見せるが、レジャー団体の復活が課題となるとのこと。また、コロナ禍で旅行会社側でも担当者の交代など人員の変化が見られたことから、現地情報のキャッチアップに少々手間が掛かり、回復時期は慎重な見通しとなった。

(左から)ヘザー・アンダーソン氏、ジョー・ドカル氏

 ポートランド観光協会のアンダーソン氏は、前述した教育やテクニカルツアーの伸びの影響から「2026年」と予想。旅行者の関心も高まっているとし、「日本市場への期待感、優先順位は変わっていない」と明言した。

 グレーター・マイアミ観光局のドカル氏は、具体時期は示さなかったものの、最重要事項は「直行便」とした。今回のツーリズムEXPOジャパンで初出店を果たした同局だが、今後「できるだけ多く来日し、日本の皆様に知っていただけるよう活動していく」「日本から多くの方々をお迎えしたい」と意欲を示した。