変わる修学旅行の形、JTBとJALが学校向けの教育プログラム販売開始
JTBとJALは、JAL便を利用して修学旅行で海外に行く学校を対象としたサステナビリティ学習プログラムを共同開発し、9月より販売を開始した。両社は2050年までにCO₂排出量実質ゼロの目標を掲げており、JTBではJ-クレジット制度を活用した「CO₂ゼロ旅行」や、MICE会場での電気を再生可能エネルギーに置き換える「CO₂ゼロMICE」などの取り組みを、JALでは省燃費機材への更新、SAF活用などの取り組みを推進している。
今回の共同プログラムは、将来を担う学生らのサステナビリティへの意識醸成を目的としたもので、旅マエから旅アトまでの一貫したプログラムを実施する。旅マエにはSAFなど脱炭素に関する基本知識を楽しく学ぶJTBの特別講座を、旅ナカでは搭乗する航空機から排出される二酸化炭素の一部をSAFにより削減し、旅アトにCO₂削減に寄与したことを示す証書を発行する。JALでは、SAF活用により創出されるCO₂削減の環境価値を証書化する法人向け事業「JAL Corporate SAF Program」を展開しているが、学生向けの同様の取り組みは今回が初。
SAFの活用のみならず旅マエに学習を取り入れることとなった経緯について、JTB航空仕入部航空政策課の安髙圭伊子氏は「新学習指導要領にSDGs教育に関する内容が盛り込まれたこと。その中で、教育現場の営業担当者からもSDGsに特化した付加価値のあるプログラムの要望があった」と明かしている。
同プログラム初実施となった日本大学中学校では、10月に修学旅行で台湾へ向かった168名の学生に対し、特別講義を開催。産業革命以前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標を達成できた場合とできなかった場合の2100年の天気予報といった映像を取り入れるとともに、グループワークを活用した参加型のプログラムとすることで理解を深め、講義後のアンケートからは「自分が暮らしてる地球を守るためには、自分が行動を起こさなければならない」といった学生からの声が聞かれた。
今回の特別講義を受けたクラスの先生によると、学生らは以前からJTBが販売する「SDGs School」と呼ばれる動画教材や通常の授業時、自由研究などでもSDGsに関する学習を進めており、「(SDGsに関して)馴染みが深い」。同校では、修学旅行の呼び名も変更しており、一部学年を除き国内研修、海外研修と呼称している。「学校での旅行だからこそできる学びを」との考えがあることから、今回の修学旅行(海外研修)でも現地の学校との交流プログラムなどが組み込まれている。また、帰国後も事後学習としてプレゼンが予定されており、従来の修学旅行に比べ「学び」の要素が重視されているようだ。