訪日者数早くも2023年越え、中国市場回復傾向も「今後の状況見守る」-秡川長官会見
観光庁長官の秡川直也氏は16日、定例会見を実施した。足元では、9月の訪日外国人数が287万2200人を記録し、8カ月連続で同月過去最高を記録。1月~9月の累計では2688万200人となり、2023年の年間累計2506万6350人を早くも上回った。
秡川氏は、今後も従来のインバウンド施策を継続していく方針で、「訪日者数が増加すると、(オーバーツーリズムなど)今までなかったような課題が出てくる。今までの取り組みは続けつつ、新しい課題には迅速に対応する」と発信した。
9月の訪日数の国・地域別では、23市場のうち、韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域の18市場で、9月として過去最高を更新。主に、中国、マレーシア、米国などが増加したことで全体を押し上げた。
中国市場については、2019年同月比でも約8割と回復が進むが、「伸びている感じはあるが、以前に多く来ていた階層の方は減っているなどの分析もある。今後の状況を見守りたい」と慎重な姿勢を示した。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2024年 | 対19年 | 2019年 | 2024年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 2,688,478 | 100.0% | 1,452,157 | 838,581 | 57.7% |
2月 | 2,604,322 | 2,788,224 | 107.1% | 1,534,792 | 978,884 | 63.8% |
3月 | 2,760,136 | 3,081,781 | 111.7% | 1,929,915 | 1,219,789 | 63.2% |
4月 | 2,926,685 | 3,043,003 | 104.0% | 1,666,546 | 888,767 | 53.3% |
5月 | 2,773,091 | 3,040,294 | 109.6% | 1,437,929 | 941,709 | 65.5% |
6月 | 2,880,041 | 3,140,642 | 109.0% | 1,520,993 | 930,229 | 61.2% |
7月 | 2,991,189 | 3,292,602 | 110.1% | 1,659,166 | 1,048,823 | 63.2% |
8月 | 2,520,134 | 2,933,000 | 116.4% | 2,109,568 | 1,437,127 | 68.1% |
9月 | 2,272,883 | 2,872,200 | 126.4% | 1,751,477 | 1,212,600 | 69.2% |
10月 | 2,496,568 | 1,663,474 | ||||
11月 | 2,441,274 | 1,642,333 | ||||
12月 | 2,526,387 | 1,712,319 | ||||
1~9月 | 24,417,820 | 26,880,200 | 110.1% | 15,062,543 | 9,496,500 | 63.0% |
1~12月 | 31,882,049 | 20,080,669 |
観光庁では、好調なインバウンド需要を地方へも波及すべく地方誘客及び、消費額拡大への取り組みを推進している。9月27日には「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」において、モデル観光地として前回選定時に継続検討となっていた「山形エリア」「佐渡・新潟エリア」「富士山麓エリア」の3地域が新たに追加選定された。
同事業は、高付加価値旅行者の誘客に必要なウリ(滞在価値)、ヤド(宿泊施設)、ヒト(送客、ガイド、ホスピタリティ)、コネ(海外高付加価値層とのネットワーク、情報発信)+アシ(利便性・快適性の高い移動手段)の5つの観点で、モデル地域を集中的に支援するもの。
秡川氏は、同事業の進捗について「昨年3月に選定されていた11地域では、課題の洗い出しが完了してマスタープランを策定したところ。今年度は実地で取り組みが始まりつつある」と説明しており、新たな3地域では今後、課題の洗い出しやマスタープランの策定へと取り組みを進める予定だ。