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訪日者数早くも2023年越え、中国市場回復傾向も「今後の状況見守る」-秡川長官会見

  • 2024年10月17日
秡川直也観光庁長官

 観光庁長官の秡川直也氏は16日、定例会見を実施した。足元では、9月の訪日外国人数が287万2200人を記録し、8カ月連続で同月過去最高を記録。1月~9月の累計では2688万200人となり、2023年の年間累計2506万6350人を早くも上回った。

 秡川氏は、今後も従来のインバウンド施策を継続していく方針で、「訪日者数が増加すると、(オーバーツーリズムなど)今までなかったような課題が出てくる。今までの取り組みは続けつつ、新しい課題には迅速に対応する」と発信した。

 9月の訪日数の国・地域別では、23市場のうち、韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域の18市場で、9月として過去最高を更新。主に、中国、マレーシア、米国などが増加したことで全体を押し上げた。

 中国市場については、2019年同月比でも約8割と回復が進むが、「伸びている感じはあるが、以前に多く来ていた階層の方は減っているなどの分析もある。今後の状況を見守りたい」と慎重な姿勢を示した。

24年訪日外国人数・出国日本人数(対19年比)
訪日外国人数出国日本人数
2019年2024年対19年2019年2024年対19年
1月2,689,3392,688,478100.0%1,452,157838,58157.7%
2月2,604,3222,788,224107.1%1,534,792978,88463.8%
3月2,760,1363,081,781111.7%1,929,9151,219,78963.2%
4月2,926,6853,043,003104.0%1,666,546888,76753.3%
5月2,773,0913,040,294109.6%1,437,929941,70965.5%
6月2,880,0413,140,642109.0%1,520,993930,22961.2%
7月2,991,1893,292,602110.1%1,659,1661,048,82363.2%
8月2,520,1342,933,000116.4%2,109,5681,437,12768.1%
9月2,272,8832,872,200126.4%1,751,4771,212,60069.2%
10月2,496,5681,663,474
11月2,441,2741,642,333
12月2,526,3871,712,319
1~9月24,417,82026,880,200110.1%15,062,5439,496,50063.0%
1~12月31,882,04920,080,669

出典:日本政府観光局(JNTO)

 観光庁では、好調なインバウンド需要を地方へも波及すべく地方誘客及び、消費額拡大への取り組みを推進している。9月27日には「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」において、モデル観光地として前回選定時に継続検討となっていた「山形エリア」「佐渡・新潟エリア」「富士山麓エリア」の3地域が新たに追加選定された。

 同事業は、高付加価値旅行者の誘客に必要なウリ(滞在価値)、ヤド(宿泊施設)、ヒト(送客、ガイド、ホスピタリティ)、コネ(海外高付加価値層とのネットワーク、情報発信)+アシ(利便性・快適性の高い移動手段)の5つの観点で、モデル地域を集中的に支援するもの。

 秡川氏は、同事業の進捗について「昨年3月に選定されていた11地域では、課題の洗い出しが完了してマスタープランを策定したところ。今年度は実地で取り組みが始まりつつある」と説明しており、新たな3地域では今後、課題の洗い出しやマスタープランの策定へと取り組みを進める予定だ。