人手不足関連倒産200件迫る、コスト上昇も賃上げは必須の状況に

 8月の「人手不足」を一因とする全国企業倒産件数(負債1千万円以上)が16件だったことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。これにより1~8月の累計では177件で、前年同期の1.9倍に達している。

TSR資料より

 累計での倒産要因別では、求人難(81件)が最多。以降は人件費高騰(65件)、従業員退職(48件)と続いており、すべての要因が既に年間最多を更新している。

 産業別では、サービス業他(57件)が最多で前年同期比90.0%増を記録。以降は建設業(54件)、運輸業(43件)と続いており、コロナ禍前から人手不足に陥っていた労働集約型産業が目立った。

 2023年度は4社に1社が赤字と企業業績は二極化が加速するなか、輸入資材や原材料価格の上昇、物価高に加え、今後は金融機関からの借入金利の上昇も見込まれる。コストアップが押し寄せるなか、人材採用や従業員の退職回避のための賃上げは避けられない状況にあり、しばらく人手不足関連倒産は増勢をたどる可能性が高い。