宿泊業、カスハラ被害深刻 休職・退職に繋がるケースも
各航空会社などが相次いで対策方針を策定していることから注目が集まっている「カスハラ」について、宿泊業でも多くの被害が出ていることが、東京商工リサーチ(TSR)が8月上旬に企業向けに実施したアンケート調査でわかった。
同調査での「直近1年間でカスハラを受けたか」の質問では、全体の2割が「受けたことがある」と回答。宿泊業からの回答に限れば72.0%が「ある」と回答しており、業種別ではトップ。次いで、飲食店(64.8%)、タクシーやバスなどの道路旅客運送業(55.5%)と続いた。
カスハラの内容としては、「口調が攻撃的・威圧的だった」「長時間(期間)にわたって対応を余儀なくされた」との回答が多かった。また、カスハラを受けたことがある企業の内、13.5%が「休職や退職が発生した」との影響が出たことが明らかになった。
調査では、カスハラに対し、従業員向けの研修や相談窓口の設置、対応方針を策定するなど一部対策を講じる企業が見られた一方で、「対策を講じていない」企業は71.5%にものぼっており、特に中小企業で対策が遅れている状況だ。