観光立国へ 25年度予算増額要求、インバウンド誘客や観光産業再生を後押し 観光庁

 観光庁は2025年度の予算概算要求で、今年度予算比123%の627億6200万円を要求した。その内、一般財源は今年度比150%の149億9700万円、東日本大震災からの復興枠は同額の7億6500万円、国際観光旅客税(出国税)を財源とする「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」が117%の470億円となった。

 一般財源による事業では、「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」の3点を柱とすることは今年度と変わらない。

 「持続可能な観光地域づくり」の主な事業としては、地域の受入環境整備事業に14億4000万円を要求。地域毎で課題となっている二次交通やオーバーツーリズムへの対策として、混雑状況の可視化、マナー啓発、パークアンドライドの整備などに取り組む。その他、観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業に30億円、観光DX推進事業に5億5000万円を計上。キャッシュレスやオンライン予約などデジタルツールの支援等を通し、「稼げる地域」作りを進める。

 課題となる人材不足対策事業には今年度予算の3倍となる3億円を要求。事業内容は主に今年度のものを継続し、省人化支援の設備投資や外国人材の確保に取り組む予定だ。

 新規事業としては「観光産業再生促進事業」が始動する。コロナ禍で大きなダメージを受けつつも潜在的な価値を有する宿泊事業者に対し、再生ファンドとも協力の上、専門のコンサル事業者の派遣や資金支援を実施し、事業再生を促す。

 次に「地方を中心としたインバウンド誘客」の主な事業として、地域周遊観光促進事業に5億6300万円、戦略的な訪日プロモーション事業に55億円を見込む。滞在コンテンツの充実からプロモーションまでを支援することで、誘客及び消費額拡大に貢献する。訪日向けプロモーションでは、来年度に開催する大阪・関西万博を活用した取り組みを実施する予定だ。

 また、双方向交流の観点から、海外教育旅行を中心としたアウトバウンド促進事業に5500万円を付けた。付加価値の高い教育旅行プログラムの開発支援や、各国政府観光局と連携し若者の国際交流を図る。

 最後に「国内交流拡大」の主な事業として、ユニバーサルツーリズム創出事業に対し、今年度予算額5400万円から大幅増額となる5億円を要求。団塊世代が後期高齢者となる中で、宿泊施設のバリアフリー化のための改修支援やモデルツアーを実施することで国内交流市場を開拓する。

 2022年度から開始した「第2のふるさとづくり」事業では、昨今企業による取り組むの関心が高まっていることから、来年度には「企業版第2のふるさとづくりモデル」を展開する予定だ。