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【視察レポート】メルボルン近郊でグルメ&温泉大満喫、心も身体も満ち足りる体験が目白押し

  • 2024年7月23日

 続いてはグルメ。1ページ目のジャック・ラビットのシャルキュトリ&チーズやポイント・レオ・エステートの食事ももちろんグルメといえばグルメだが、こちらではより食事自体に焦点が当たった体験を取り上げよう。

ポーターリントン・マッスル・ツアーの船。大きくはないが内海なので揺れは少なく快適。ちなみにポーターリントンはメルボルンからフェリーで直接移動することも可能だ

 今回の食事体験で最も印象に残ったのは何かというと、ベラリン半島でムール貝や牡蠣、ホタテを養殖するポーターリントン・マッスル・ツアーだ。ポーターリントンからボートでベラリン半島とポート・フィリップ・ベイの景色を楽しみながら養殖場へ向かい、採れたての貝を船内で調理して地元のワインと一緒に楽しませてくれる。

ムール貝の養殖場。テレビなどで見たことはあっても実際に目の前にすると大迫力

 食の好みは様々とはいえ、それでも日本的な食の価値観において「素材の味を大切にする」ことが重要であることに異論の余地はきっとないはず。そしてこのポーターリントンからのツアーでは、まさに素材勝負の品々が供されるのだ。

生ムール貝。クセもなくフレッシュな旨味に思わず笑みがこぼれる

 剥いたばかりの牡蠣やムール貝にレモンを絞って好きなワインで流し込む。あるいはホタテ貝はさっとソテーして。料理らしい料理がないかと言えばそんなことはなく、例えばムール貝をにんにく、玉ねぎ、唐辛子ジャム、そしてハーブなどと一緒に炒め合わせた一品はいくらでもワインを呼ぶ。しかも絶景の海の上なのだからたまらない。

いいにおいにつられてオープンキッチンにかぶりつき

 オーストラリアとの関わりもそれなりに長くなってきたが自分の好みとしては過去一番の食事体験で、今すぐにでももう一度船に飛び乗りたいほど。ツアーは通年催行で、強風の時のみキャンセルとなるが2023年は5件のみだったとのこと。また今回は主にムール貝だったが、ホタテやアワビも加えたデラックス版のツアーも計画中だそうだ。

 それからもう一つ印象的だったのは、メルボルンなどで人気のベーカリー「ルーン(LUNE)」。ザ・ニューヨーク・タイムズから「世界一のクロワッサン」と評されたという有名店で、フリンダースストリート駅のすぐ近くのメルボルンCBD店を含めてメルボルン近辺に3店舗、ブリスベン近辺に2店舗を運営しシドニーでも開店を準備中だが、今回はメルボルンから北に3キロメートルほどのフィッツロイ店を訪問。こちらでは前菜、メイン、デザートの全品にクロワッサンを使用したコースメニューをペアリングワインと一緒に8席限定で提供する「ルーン・ラボ」を備えている。

世界一(?)のクロワッサン。普段あまり食べないので他と比較できないが値段(大きいプレーンのクロワッサンで7.1ドル)からしても満足度は高く、物価水準や為替を考えればむしろ割安な印象

 3日以上かけて作られるというそのクロワッサンは、薄く軽く重なった層の繊細なビジュアルに心地よい食感、さくっと軽快な音と驚きの連続。コースも最初は「そんなにクロワッサンばかり…?」と思っていたが、さきほどのムール貝料理と同じく奇をてらわずにちゃんと美味しい。「世界一」の称号を含めてお客様にお勧めしやすい体験ではないかと思う。

ルーンは、F1の空気力学エンジニアだったケイト・リード氏が2012年に創業。メルボルンCBD店の前を通った際には20人ほどが列を作っていた

 このほかメルボルンの街では、中心部のフリンダースレーンに沿って点在する系列飲食店を4軒もはしごする食べ歩き体験も。メルボルン黎明期の19世紀中頃にあったパブをオマージュしたシックなバーがあったり、日本の居酒屋文化の影響を色濃く感じさせる店があったりとバリエーション豊かで、それぞれ料理のクオリティも高くメルボルンにおける食の幅の広さを感じられた。

ベラリン半島とモーニントン半島の間はシーロード・フェリーズで移動。写真はベラリン半島側で2023年4月にオープンした新ターミナル