トップインタビュー 阪急阪神ビジネストラベル代表取締役社長 福澤 太郎 氏

  • 2024年7月10日
-そのような中で、ご自身に課せられている目標などがあればお聞かせください。

福澤 従業員の業務に対する満足度向上を目標にしています。実際に4月の1週目に国内に4か所ある全事業所に赴き、「自分のミッションは従業員の皆さんの満足度を上げることだ」と公言しました。給与面はもちろん、モチベーションなども含めた幸福度を上げたいと考えています。自分自身、初めて就いた社長の役目は、企業の存続と安定的な利益を追求することであると認識しています。しかし、この業界では、AIがどれだけ発達しようが「最後は人」です。創業以来この会社が培った良いところは踏襲し、自分の視点から見て変えるべきところは変えていくつもりです。

 阪急交通社でもおこなっていたのですが、まずは取っ掛かりとして、4月から社員全員を知るために社員を7~8名くらいずつ招いたランチ会を開催しています。事前に自己紹介シートを書いてもらい、趣味の話などを通じてコミュニケーションを取っています。リフレッシュコーナーの充実などのリクエストを受けたらすぐに対応をしたりと、草の根運動的に改善をおこなっています。従業員満足度向上に関しては、今後も継続的に取り組んでいきたいと思います。

-外国人採用など積極的な業務フロー改革に取り組まれています。手ごたえはいかがでしょうか。

福澤 23年の秋から日本語検定2級や1級に合格している外国人の方々を採用していますが、あくまで教科書の日本語です。最初からお客様と直接のやり取りは難しいものがあります。まずは業務の基礎教育をした後に内勤やメールでのやり取りからスタートさせ、段階を経て丁寧に育てていくことが重要と考えています。もともと優秀な方々なので時間をかけて教育していく方が将来的に強力な戦力になると思っています。中には面接したときから営業に出たいという気骨のある方もいます。お客様の営業に同行した際に、日本語では多少詰まってしまうことがあっても、業務の内容はしっかり理解していることが感じとれるので、徐々に当社の仕事に馴染んできていると思います。

-今後、ビジネストラベルを取り扱う旅行会社と、旅行会社を取り巻く環境はどのように変わっていくとお考えですか?

福澤 競合と言えば、OTAやAIを活用した技術力の高いエージェントも台頭してきていますが、コロナ禍を経て、オンラインだけでは完結できないものがあるとあらためて世間にも認識され、リアルエージェントの価値が見直された側面もあります。官公庁や公務の部署などは特にそうだと思いますが、当社のヒューマンタッチな対応も必要とされなくなることはないので、更にデジタル面も兼ね備えていけば需要もしっかり捉えていけると考えています。

-最後に、トラベルビジョンの読者へメッセージをお願いします。

福澤 コロナの影響により、旅行業界への就業希望者は減ったと痛感しています。これは業界全体で、給与問題や労働環境を改善していかないと次のプロフェッショナルへの成り手がおらず、業界が消えゆく危機にさらされると考えます。これは一個社の問題ではなく、業界全体で挑戦すべき問題ですので、是非みんなで取り組んでいきましょう。